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ハジメテの、夏
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夕日も沈み、星たちが瞬き出した頃。



「すいません…お待たせしました」



昴さんにヘアメイクを、おばあちゃんに着付けをしてもらった私は清墨さんの前に姿を出す。




「…」


「どう、ですか…?」


「…………crazy」


「ええっ!?」





思いがけない反応に、ショックを受けてしまう私。

可愛いだなんて、綺麗だなんて。



褒めてはもらえないと思っていても…。



「ククッ…」



「…昴さんまで笑うこと無いじゃないですか」




落ち込む私とは対照的に、笑い出す昴さん。


それどころか、みんなも笑っているような気がする。





「英司。そんなに素直じゃねーことばっかり言ってると海司みてーになるぞ?」



「なっ…!俺は夏子のこと孫にもいしょ…」



「海司!」



「何だよ英司!」



「…その先は、俺だけが言えばいいです」



「そうだよねー。だって夏子ちゃん、めちゃくちゃかわ」



「そらっち!まかぼんは喋ったらシカトだ」



「僕にだけ冷たすぎませんか!?」



「ったく、んなヤキモチ妬いてるなら素直に言えばいいのに」



「ヤキモチ…?」






キョトンと、みんなの会話を眺める私の手を清墨さんが引く。





「あ…」



「…気にするな。夏子、行くぞ」



「はい…」




繋いだ手は、少しだけ熱い。




「フッ…。まぁ、楽しんでこいよ」



「気をつけてね、夏子ちゃん」



「まぁ、英司がいるから平気だろ」



「でも、今日の夏子さん可愛いから心配ですね」



「…まかぼん、覚えてろよ」



「ええっ!?僕、何か悪いこと言いました!?」



「憲太、気にするな」





清墨さんの、私の手を引く力が少しだけ強引で。



見上げた横顔が、少しだけ赤いのは都合良すぎるかな…なんて、思いながら。




「あっ…い、行ってきます!」





ワイワイと騒いでいる皆さんの声を背に受けて、私は清墨さんと一緒に夏祭り会場へと歩き出した。








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