時系列も野球事情もぶっ飛ばして、一ノ瀬塔哉を祝いたいカウントダウンその1。一ノ瀬さんが甘党だったら可愛いなという妄想。プロ入ったら仲良くなって欲しい人No.1進くんです。

※時系列等はぶっ飛ばしてお考えください。成人です。

「一ノ瀬さん、これどうぞ!」
品のいい柄がプリントされた、紺色のラッピング。文庫本ほどのサイズの包みを、にこにこと差し出してくる手は、可愛らしい風貌には似合わないごつりとした痕に覆われている。
ほっぺの絆創膏もトレードマークの、高校時代の後輩。と言っても年が離れているため、あかつきキャプテン一ノ瀬塔哉として、在学中に顔を合わせることはなかったのだが。今は、リーグは違えどお互いにプロとして活躍している、猪狩進だ。穏やかで人当たりの良い性格で、どんな縁か、大人になった今、こうして居酒屋で酒を飲み交わすような、一緒に出掛けるくらいの仲にはなっていた。
そんな彼の顔を見て、包みを見て。もう一度彼を見て、思わず首を傾げると、「あっ、ご迷惑ですか……?」とおろっとした表情を浮かべる。違うよと慌てて否定すると、ほっとして息を吐く。「甘いものお好きだって聞いてたので」と、尻尾のような髪を揺らして微笑む彼からそれを受けとる。
ありがとうと言いながらも、疑問は消えなかった。どうして、そう聞こうとしたその時、彼が笑顔で口を開いた。
「ちょっと早いんですけど、お誕生日プレゼントです!」
自分が頻繁に覗く、お気に入りのチョコレート店のものだと進は話す。気に入ってくれたら嬉しいです、そう結んでまたカクテルに手を伸ばした。
そう言われれば、そうだ。一ノ瀬は今更思い出した。あと十日も経てば、また一つ年を取る。
(いつも、自分の誕生日忘れるんだよな)
思ってたよりも物忘れが激しいのかもしれない、そんなことを考えてふっと苦笑する。
ほろほろと、酒も入って上機嫌な様子の進に、改めてお礼を言った。
「ありがとう、嬉しいよ」
「どういたしまして、一ノ瀬先輩」
緩んだ頬はお互い様で。こちらも、なんだかくすぐったい快さに包まれたのだった。

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