捧げもの | ナノ

 




―休日。




「―あれからもう…3年くらいたったのか…」



ティアに『ケーキの味見をしてほしい』と言われてやってきて、その味見が終わった後


ルークはひとり、セレニアの花畑の真ん中にたたずんでいた。



セレニアの花を見ると、つい最近のことのようにあの時の記憶を思い出される。



タタル渓谷にティアと飛ばされたとき、アクゼリュスが崩壊して、決意の証に髪を切ったとき、タタル渓谷に2回目に来たときのティアのケーキ、…ルークが、帰ってきたとき。


すべては、ティアがいたから。



(あの時ティアと飛ばされてなかったら、きっと俺はアクゼリュスで何も知らぬまま死んでたんだよな…)



「ルーク、何してるの?」


ボーっと眺めていると、後ろからティアの声が聞こえてきて、ルークは少し振り返り微笑みを浮かべて、再びセレニアの花を見つめ、口を開いた。



「……懐かしいなと思ってさ」


「そうね…。あれからもう3年ほど経ったなんて…、なんか信じられないわね」


「…そうだよな…。本当に、つい最近のことのようだよ」



2人でセレニアの花を見つめる。

白くて、とても綺麗な花。



「……私、ルークと一緒に旅ができて、…よかったと思ってるわ」


ふと風が吹いて、ティアの髪が風になびいた。


懐かしそうに笑う、ティアの横顔は

セレニアの花よりも

何倍も、綺麗で。



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