「えぇ、籠女ちゃんが行くの?!分身じゃなくて」
『どれだけ信用されてないの、私って…。』
「ただ心配してるだけだよ、…でも籠女ちゃんが行くなら小鳥も行きたい!」
『駄目』
「やだやだやだぁー!」
「アンタが来ても足手まといになるだけだ」
「ャマ…ナ」
『小鳥?』
「足手まといって酷い!でも本当のことだから今回は諦めるね」
『そう…』
「でも、この子を連れてって」
"ボワン"
「小鳥の忍鳥さんだよ」
小鳥の両手の中心から現れた真っ白な小鳥
いつの間に口寄せなんて出来るようになったんだろう。
今は、それだけの考えだった
肩に留まった忍鳥はその身を休めるように羽のなかに顔を丸め動かなくなった
「行くぞ」
『えぇ』
「籠女ちゃん!」
『ん?』
「ずっと、一緒だよ!…だからちゃんと帰ってきてね」
『…うん』
その向けられた視線は確かに私を捉えていた、だけど全てを見透かされているようで上手く言葉にすることが出来なくて…
小鳥と別れて随分と経つのに、あの瞳を忘れることが出来ない
私自身初めての外の任務
空気が清んでいてまともにこんな遠くに外にでるのは初めてな気がする
『気づいてる?』
「…。」
『(無視?!)』
私と紺、そして分身一体の三人のはずなのにその場で感じる気配は複数
もしかして木ノ葉の抜け忍?
しかし、私達がここにいるのは極秘な事であって誰にも知られていないはず"真"のメンバーが漏らさない限り誰にも知られるはずがない
"シュッ"
『わっ?!』
「ボサッとしてたら死ぬぞ」
『っ』
囲まれた!そう思った時には既に遅すぎて片腕からは血が流れていて
後方から投げられたクナイに当たってしまったのだろう傷口からは止めどなく血が流れていて
『血…。』
空いている片方の手で切れた反対の腕に触れれば当たり前のように赤い血が付く
それからは頭が真っ白になって気付けば木ノ葉の額宛をした男が一人
「助けて、くれ…俺は違うんだ!」
『駄目』
「嫌だ!死にたくないっ」
どうなってる?
自分が自分じゃない
身体が思うように動かない
目の前に血が広がった
目の前の男も動かなくなった
私がや(殺)ったんだ
『…。』
「任務終了のようだな」
鳥が空を舞う
自由を喜んでいるかのように真っ黒な空と赤に染まった地の間をくるくると、、、
『私が』
なにも覚えていない、真っ白な意識のなか気付けば回りは赤に染まっていて最後の一人は私の手ではっきりとした意識のなかで悲痛な声をあげながらこの世を去って行った
人の一生を終わらせるのが、こんなにも簡単なことだとは思わなかった
いつもの私は終わらされる方だから
『あはは』
いままで私はこんなことを続けていたんだ
以前、分身について調べた自分で作った自分の分身それは本体とは違うが、本体に限りなく近い存在しかし私の分身は普通の分身とは違う感情を持たない人形…
まるで私が依り代に宿る前の私
何も話さずに、ただ与えられたことをこなす人形そして役目を終えれば消える
そこでも、普通の分身なら消えると同時に本体にそれまでの記憶が宿るらしい、しかし私にはそれがない
どうなっているのかは私にもわからないが、私はただの偽善者ぶっている人殺し
正義のために抜け忍を殺る、火影を里を守るために…殺しをする
死にたくないと懇願する声を無視してまで
私の正義とは何なんだろう
2013/04/07
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