会いたい、逢いたい
中学受験をした時、今通っている私立大付属中にくわえて、合格通知はあと二校から届いた。電車を乗り継いで通わなければならない今の学校よりも、江ノ電一本ですむ鎌倉の女子校を選べばよかった。
こんなときには、そんな、思い煩ってもしかたのない後悔で頭の中がいっぱいになる。
朝の満員電車。
あらゆる人種がぎゅうぎゅうと詰め込まれている車内。
きまじめな制服姿の葵。
その膝丈のスカートのすそから、不潔な手が進入してくるときだ。
毅然と抵抗。
果敢に対峙。
淀みなく解決。
そんなこと、どだい無理な話だ。
声なんか挙げられない。
無理に体をひねれば近隣の客に迷惑がかかる。
次の駅をむかえ停車しているすきに、うねり流れてゆく人波を縫って、その不潔な手から逃げることをこころみた。
混雑や不快感に耐えている客に舌打ちされることやにらみつけられることをガマンして、気持ちのわるいものから逃げることを選ぶ。
そして、車両間のドアをこじあけた。
日頃であればたいていの場合ここであきらめてくれるのだが、今日は、車両をかえても、ついてくる気配がある。
迷惑がられることを承知で、乗客の間を必死で縫い、逃げ続ける。
さらにひとつ向こうの車両は、ここと違って余裕があり、ゆったりとしていることを葵は知っている。
それもそのはず。
その車両は、不良少年が乗り込む車両であることがこの時間の通例であるのだ。ただし、龍也の通学する高校ではない。この路線の終点にある県立高校の生徒たちが乗っている。
そして、この車両には痴漢は出現しない。
つまり、女子中学生や女子高校生をつけねらった陰湿な性犯罪をはたらくのは、不良少年らではないのだ。
この車両の居心地がいいわけでもないけれど、あんな危機にさらされるより、ここはずいぶんまともだ。
予想通り、不穏な気配は、そこですっぱりと遮断された。
制服を着崩し、髪の毛を自由にアレンジした男子高校生たちは、車両にすべりこんできた葵をちらりと一瞥し、すぐに興味をなくして、おのおののバカ話にふけっている。
そのとき、
「葵!」
軽やかな声で葵のなまえがよばれた。声のぬしをさがすと、車両の真ん中で吊革を掴んでいる同じクラスの女の子だ。きれいな子。彼女のそばには、大胆に制服を改造した金髪の生徒。葵たちの学校の生徒ではない。この車両を構成する高校の学生だ。愛想のいい不良少年が、気安い調子で葵にも手をふると、彼女が、冗談めかして、恋人であるその少年の額を軽くこづいた。かけよった葵が彼女のそばにぴとりとくっつき、痴漢にあったのだと打ち明けると、ここに逃げてくるとついてこなくなるよね!と二人して盛り上がる。彼女の恋人も、同情のことばを寄せてくれた。顔見知りにあった安堵で、心の重石がすこしとれた。
葵は、いやなことが起これば、あとはもういいことしかおとずれないと考えることにしている。
そして、葵の、そんな根拠なき楽観は、ことごとく裏切られることとなる。
まず、授業中に予告なしに指名され、結局冴えない回答しか導き出せなかった。
ひとりの生徒のそんな失敗をしつこく弄ぶようなクラスではないことだけが幸いだけれど、自分で自分が情けなくなる。
そして、美術の授業中、彫刻刀で指の腹をざっくりとえぐった。滴り落ちる血。袖口が、血液で汚れてしまった。
気遣ってくれるわかばにお礼をつたえて、葵は、美術教師の指示にしたがい、とぼとぼと保健室に向かった。
葵のクラスはおとなしい生徒が多いけれど、女生徒にくらべて男子生徒の比率がひときわ多いマンモス私大付属の学校には実に様々なタイプの生徒がひしめいている。さいわい、葵のまわりには、心の優しい友人ばかりだ。
失礼しますと律儀に声をかけて、保健室のとびらをがらがらとひらいた。
教師はいないようだ。そして、とびらを開いたとたん薫ってくる、ずいぶん特徴的なにおい。何のにおいだろうか。かぎなれぬ、このしつこく安っぽいにおい。薬品ではないだろう。
においをかぎわけて、葵はベッドに腰掛けひとつため息をついた。血は、いつのまにかとまっている。そして、ベッドの目の前にある、薬品棚を眺める。このまえ、わかばと保健室に来たとき、彼女はこの棚から目当ての消毒液をさがしあてていた気がする。
ふかふかのベッド。
つまさきがぎりぎり床につく高さのベッドに、すわりこんで、しょんぼりとうなだれていたとき。
葵のローファーのつまさきに、何かがころころと転がってきた後、こつんとぶつかった。
「?」
そして、カーテンが勢いよく開かれる。
そこにいたのは、葵より上級生だろう、背の高い二人組。
葵にとって好みとはいえない髪型、身だしなみで、葵のことを好奇の目で見つめたのち、中等部?とたずねてくる。それは、ろれつのまわらぬ語尾であることがわかる。
「す、すみません……」
葵のことをさぐるような言葉にはこたえず、ひとまず謝罪のことばをのべた葵がおもわずベッドからとびおりようとしたとき、葵の前に、一人がたちはだかった。
その、視線がさだまらない不安定な姿。
そして、この特徴的なにおい。
葵の足先にかつんとぶつかったもの。
この特徴的なにおいは、酒だ。ぶつかったのはビールの空き缶。
この高校生たちは、授業をさぼって、誰もいない保健室で酒を飲んでいたのだろう。
ずいぶん酩酊した学生。体格も雰囲気も、大人に近い。高等部三年の男子生徒だろうか。あまり上品とはいえない制服の着こなし。ろれつのまわらないことばで、何かをぶつぶつとつぶやいている。
よくわからない言葉をつぶやきながら、葵にさらに近づいてきた。前方をさえぎられているから、逃げることがかなわない。
もう一人の学生も、カーテンごしのベッドからとびおりて、葵のそばにどさりと座ってくる。肩をぎゅっと抱かれた。やめてくださいと身をよじると、そんな葵のすがたをみて、酒臭い息でげらげらとわらう。
こんなとき、機転もききやしない。
前も隣も逃げ道がふさがれつつあるとき。
前方にたちはだかるひときわ酒臭い男子生徒の手が、葵にのびようとしたとき。
保健室のとびらががらりと開いた。
そして、葵のなまえを口々に呼ぶのは、クラスメイトの女の子たちだ。授業が終わったのだろう。この先進的な学校は、チャイムが鳴らないのだ。そして、ひときわ気の強いわかばが、甲高い声で叫んだ。
「うわっ、酒くさい!!!なにここ?」
だれあんた!!!葵に何してんの!!
気の強い女の子たちの集団に圧されたのか。
葵の肩を押さえていた男子生徒は、びくりと体をすくめた。比較的酔いがさめていたようで、身をひるがえしながら酩酊している生徒を引っ張って、後ろの扉から逃げ出した。
友人たちが追いかけようとするけれど、葵はあわててそれをとめようとこころみる。葵のもとに、友人たちが次々によってくる。
「大丈夫?なにもされなかった?」
わかばが、葵の顔をのぞきこみ、按ずる声で、葵にたずねる。
「あ、ありがとう、大丈夫だよ!?ね、は、はやくいこ!」
顔面に蒼白の気色を浮かべたままの葵は、血がひとまずとまっているケガもそのままに、友人たちの背中をおして、保健室からとびだす。
不審な上級生に対してくちぐちに悪態をつく友人たち。その輪にぎゅっとくっついて、葵は、疲れ果てたためいきを思い切りついた。
放課後をむかえ、わかばは習い事へ出向くため、早急にバスに乗り込んだ。友人たちも、部活や塾へ向かうため、それぞれが目的地へ散り散りとなる。
いつまでも学校に残っていたくない葵も、彼女たちについて足早に学校の外へでた。
このまま鎌倉へ帰ってしまえばいいのだが、葵の足は、家に逃げ帰るより、別の選択肢をさがすようにまごついている。
朝から今迄、葵の全身に走る、不快感や違和感。ひとりぼっちでは、そして自分ひとりのちからでは、それをぬぐい去る自信がなかった。
いつだって、葵のことを認めてくれる人。
いつだって、葵のことを守ってくれる人。
いつも、ぶっきらぼうに黙り込み、不器用な手で、葵のことをそっと抱きしめてくれる人。
こんなときに葵が会いたくなるのは、いつだって、龍也だった。
最後に離れる友達を電車のなかから見送った葵は、いつもと違う駅で降りて、いつもと違う路線に、乗り換える。
そして、めざすのは、古い家屋や古いアパートが集まる町。この駅からすこしあるけば龍也の部屋。彼の実家から、電車で4駅ほど離れた、昔ながらの町だ。
この町にはずいぶん慣れた。安全な町も、そして然程気を払わなくとものんびりと暮らせる町であることも、葵は知っている。
あっという間にたどり着いた龍也のアパート。金属の階段に足をかけた。ローファーが金属を思い切り叩いたので、今すぐかけあがりたい気持ちをおさえて、葵は、静かに歩みをすすめる。
コンクリートの廊下。
まだ夕暮れだけれど、廊下を照らす電灯がすでにともされている。
榊。手書きで書かれた文字。
郵便受けに詰まったタウン紙。
この先。
この先には、葵をつつんでくれる、あたたかい部屋がある。あたたかいひとがいる。
チャイムをおす。
とびらを、すこしつよくたたいてみる。
龍也がいるか、いないか。
そんなことすら考えは及ばなかった。
ただ、葵を守ってくれる場所がほしかった。
もう、そんなことしか考えられない。
龍也が確かにかえってくるはずの場所。
駐輪場をさきに確認すればよかったのに、あのバイクがあろうがなかろうが、そんな事実がどうであれ、葵は、この場所だけが欲しかった。
チャイムをもう一度おしても押し黙ったままの扉のまえ。
冷たいコンクリートの上。
コートがよごれてしまうこともいとわずに、鞄をどさりと投げ出す。
葵は、体育すわりでぺたりとすわりこんで、ぎゅっとひざをかかえた。
腕に顔をうめてしまうと、葵の視界のかたすみに、血がこびりついてかたまってしまった指の腹が見えた。こんな痛み、すっかりわすれていた。葵のはなさきを、まだ、保健室にこもっていた忌まわしいにおいがただよっている気がする。
ぎゅっと抱え込んだひざ。そこに思い切り顔をうめると、秋を越えて、この冬、ずっと使い続けてきたはずなのに、いまだに残る防虫剤のようなにおいがつんと鼻をついた。だけれど、あの、不快なにおいにくらべると、ずっと上等だ。
それでも、葵の知っているにおい。
あの香水の、あのたばこの、あの整髪料の、龍也のにおい。
あのにおいが恋しい。
あの広い胸。
龍也のあたたかい腕。
会いたい。
龍也に、会いたい。
まだ付き合いはじめたばかりの龍也に、情けなく頼ってしまうこと。
そんなみっともない事実が、真冬の冷風にひやされた葵の思考に、今更去来する。
すべてがなさけなくて、すべてがどうしようもなくて、葵は、今一度ぎゅっと頭をひざに埋めた。
そして、数時間。
金属の階段をたたく、革靴の音。
ただ、じっと黙って龍也を待っていた葵が、はっと顔をあげる。
葵にさす、黒い影。
うすっぺらい鞄。
ボンタンのすその砂埃。
はきつぶした革靴。
「……」
龍也の切れ長の眼におさまった、葵。その頼りないすがた。
龍也の眼に、一気に沈痛の色が帯び始める。
そして、小さな恋人の名前をかすれた声で呼ぶ。
「……葵か……?」
「……」
葵が口を開くよりさきに。
龍也が、葵の肘をつかみあげる。
力任せに立たされた葵。
龍也のその、強い指のちから。ウールのコート越しに、龍也の存在が葵に力強く伝わってくる。
廊下のあかり。
真っ暗な冬の夜のなか、それに照らされる葵のすがたを、龍也がじっくりと確認する。
「……何か、あったか……?」
「龍也先輩に会いたくて……」
龍也が、葵を思い切り抱きしめる。
冷たくなってしまった髪の毛、ウールのコートをまとってもほっそりとした体。
こわれそうな彼女を、龍也が、きつく抱きしめる。
どうしても欲しかったもの。。
どうしても会いたかったひと。
どうしてもいてほしかったひと。
そんな願いがようやくかなった葵が、長ランごしの龍也の身体に、力いっぱい抱き着いた。
「ごめんなさい……先輩のめーわくもかんがえなくて……」
「チッ……冷てぇな……」
「……先輩……」
「ずっと待ってたのか……?」
葵のことを一度解放した龍也が、扉の前に投げ出されていた葵のバッグをとりあげた。葵の肩をそっと抱き寄せる。このやさしさ、このあたたかさが、葵はずっと恋しかった。龍也にそっと寄り添って、泣いたり叫んだりすることすら忘れたまま、葵は、自信に欠けたようすで、黙って龍也に寄り添ったままだ。
葵のことを片手で抱えたままの龍也が、長ランのポケットからさぐりあてた鍵を、シリンダーにさしこむ。
そのまま葵をまねきいれる。
冷気がこもった部屋。だけれど、あたたかな部屋。長い長いため息をついて、安堵したようにわらった葵のことを、龍也が注意深く確認する。葵の顔に、あざやケガはない。スカートからのぞく細い脚も、見たところ無傷だ。女が暴行を受けたときは、ここに目をそむけたくなるような傷がつくはずだ。それとも、そんなことをさとらせないように、じっくりと脅されながら傷つけられたか。いつも凛と立つ葵が、ずいぶん不安がっている。
ひとまず、葵のことをあたためるために暖房のスイッチをいれた龍也が、そっと抱くように部屋にまねきいれた葵を、つとめてやさしくベッドにすわらせようとしたとき。
ふと、今日、保健室で、自分にさした影。
あの、妙なにおいの息を思い出す。
「い、いや……ベッド、いや……」
「葵。何かあったか……?」
「ちがいます……ちがうんですけど……」
龍也が、性急さを懸命におさえた手つきで、葵のウールのコートをはぎとる。
それをベッドの上に放り投げた龍也は、長ランを脱いだ。
龍也の体温に満ちた長ラン。
羽のように大きくあたたかな黒い長ランが、葵のことを、大きく覆った。
葵が、安堵に満ちたため息をつく。
今日、何度か聞いたこのため息。長ランに覆われた葵のことを、龍也が胸元に抱き寄せた。一日じゅう着たおして、あせばんでいるだろう白いトレーナー。龍也はそれが気にかかるが、葵は、このあたたかなかおりに安心して覆われている。
「オレだ。オレに会いに来たんだろ」
「はい、龍也先輩……」
超ランごと葵をつつみこんだ龍也は、葵の頼りなく細い体を、雑然としている床にそっとすわらせた。
「……オレと葵んこと知ってるやつに、何かされたのか」
「そ、そういうことじゃないんです」
「ケガは」
「ないです」
「嘘つくんじゃねえぞ」
「ないの……でも……その……」
「……」
「今日、いっぱいいやなこと、あって……龍也先輩に、いますぐ会いたくて……」
龍也のにおいのなか。
あたたかな龍也のにおい。香水、そして、たばこ。慣れ親しんだにおいにつつまれて、葵はもう一度、心から安堵したためいきをつく。
「いつでも甘えろっつっただろーが……気にすんじゃねえ」
「……わたし、いつでも龍也先輩に甘えてるのに……」
「………」
「いつも、守ってもらってばっかり……」
「……まだまだ足りてねーゾ……」
「そんなことないです……今日も、頼ってしまって、ごめんなさい……」
「……今迄守ってやれなかっただろーが……葵にぁ借りがあんだよ……」
「……」
「……怖かったらよ、なんでも言いやがれ」
「……」
「葵がなんもいわなくてもよ、守ってやるよ……」
「……」
「……葵?」
龍也の腕のなか。
冷たかった体は徐々に体温をとりもどし、龍也に安心して身をまかせている葵。
その葵が、いきなり黙りこくってしまった。
少し体をひいて、胸のなかに体をあずけてくる葵のことを確かめる。
すると。
「……葵」
「……」
葵が、ことりと眠り込んでいるのだ。
「葵、起きろ」
「…」
「おい、マジで起きろ……。今日水曜日だぞ……明日サボんのか?」
「…」
「ハラへってんだろ。なんかつくってやっからよ、おきろ」
「……」
「葵…」
龍也のからだに、コアラのようにしがみついているものだから、龍也も簡単に立ち上がることがかなわない。
そんなことより、空腹ではないのか。龍也は、帰りに適当に食事をすませてきたが、葵は食事もとらず龍也を待ち続けていたのだろう。
そしてよくよくみてみれば、さきほどまで蒼白だった葵のツラは、間抜けな程に安堵している。
ぽわんと頬がそまり、すっかり安心しきって、これは今夜、さぞおめでたい夢でも見るつもりであろう。
がっちりとしがみつく葵を力任せに抱きかかえて、先ほどいやがったベッドの上に、そっと寝かせる。そして、葵の体から長ランを引き抜いた。
「せーふくぬぐかよ?」
「……」
「チッ、皺んなってもよ、しらねーゾ……」
朝蹴飛ばしたままであった毛布がベッドのかたすみにころがっている。
制服姿で龍也にしがみついて、安心しきって眠っている葵にかぶせてやる。
「はなせ……オレぁ汗くせーぞ……こいつあらってねんだぞ……」
何をぼやこうと、ことりと眠ってしまった葵には届かない。
一人で抱えて我慢しがちなこの子。そして、めずらしく素直に傷をあかして、素直に甘えてきた葵のことを、そっとベッドに寝かせる。そしてもう一度体の変化を確かめる。顔、首、足。太腿。傷ついたところは見当たらない。ぺたりと投げ出された手。細い指に血の塊。そして袖を汚す血液。これは、不注意による怪我だろう。消毒すれば起きてしまうか。血をおびた手を取り、そっとくちづけた。
やすらかな寝顔。
いやな夢は見ないように。
もしもめざめでも、こうしてやすらかな顔で笑ってくれているように。
ひとまず、葵の細い腕を、力任せにふりほどく。
こうしてほどいてやっても、葵が起きる気配はない。
そして、時をおかずに。
葵の小さな体を、大きく包んでやる。
大凡、朝までこのままではないはずだ。
そのうち目をさますだろう。
そのとき、葵が混乱しないように。
この冷たい体をあたためてやるために。
龍也は、葵のたよりない体を、優しく抱きしめ、葵のそばにそっと横たわった。
何があったのかしらないが、すっかり回復しきった、この能天気な寝顔。
わけをゆっくりと尋ねてやり、痛みをもう一度思い出せば、ふたたび抱きしめてやればいい。
何があっても守り抜くと決めた葵のために。
龍也は、腕のなかのちいさな少女を、あたたかく抱きしめた。
title:「雨降り」様
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