グソンさんの日



おふざけです。


「グソンさん!これ、聖護くんと私から」

「ヒロインがどうしても君に贈りたいと言うからね」

「…?ありがとうございます、ですが今日何かありましたっけ?しかもこんなに豪勢な花束…生まれて初めていただきましたよ」

「カーネーション、グソンさんにいつもありがとうの気持ちだよ」

「フ、どうしたんです?改まって…」

「今日ね聖護くんに母の日って教えてもらったの」

「母の日…?」

「ああ、これも旧時代のイベントだね、ちょうど今頃の時期だったようだし花屋の前を通り掛かった時にヒロインに説明をしたんだ、そうしたら君に買っていくと言い出してね、」

「……なぜ、俺に…」

「だってグソンさん、お母さんみたいに私と聖護くんのお世話してくれてるでしょ、だから日頃の感謝」

「ヒロイン、僕はチェ・グソンに世話をされている覚えはないよ」

「えー?ふふふ、でもいーの、聖護くんと私からなの」

「お二人の気持ちはありがたくいただいておきます、…が、お母さんですか…」

「…!もしかしてグソンさん、気に障っちゃった?父の日まで我慢しとくべきだった?でもグソンさんはお父さんっていうよりやっぱりお母さん…」

「いえ、…まぁ、父より母だと言われると複雑っちゃ複雑ですけど…でもお気持ちは本当に嬉しいですよ」

「ほっ…よかった」

「…ですがヒロインさん、以前俺のことを兄みたいだと仰ってくれたじゃないですか」

「うんうん!言ったよー」

「俺…実はあれかなり嬉しかったんですよね、だから兄から母になってしまったのかと…」

「!!ああ…違うのグソンさん!まずお兄ちゃんなのは大前提なの!お母さんみたいなお兄ちゃんって感じで……ねぇ、オッパ?」

「…!!ヒロインさん、今…なんて?」

「ふふ、オッパ」

「…どこでその言葉を…」

「聖護くんがグソンさんの祖国の言葉でお兄ちゃんだって教えてくれたの、だからね、オッパ、いつもありがとう」

「あー…なんだか胸にぐっと来るものが……、ヒロインさん…もう一度言っていただけますか」

「ん、オッパ、だいすき」

「ヒロインさん…!」


グソンさんとヒロインの間にあるものはやっぱりあくまで深い家族愛のようなもの。
槙島さんも理解はしてるつもりだけど、でもどうしてもイチャイチャしてるようにも見えてきちゃって、また無意識に若干いらいら。
足を組んで頬杖なんかつきながら微笑んで二人を見てたけど、純な笑みが黒い笑みになってくる。
そして紙とペンを取り出してスタイリッシュ殴り書き。


「ヒロインさん、」

「なあに、オッパ」

「……チェ・グソン、母の日のサービスはその辺りで終了だ、次からどうしてもという場合はこれを使うといい」

「…?ダンナ、なんですか、これ」

「うん?あはは、オッパって書いてあるけど…聖護くんこれなぁに?」

「最大の譲歩だよ(威圧的ににっこり)」


肩叩き券ならぬオッパ呼び券配付!
でも結局それがなんなのか説明はしていない槙島さん。


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