槙島さんとハロウィン



「聖護くん!おかえりなさい」
「ただいま、ヒロイン」
「ね、聖護くん、今日は何の日?」
「今日は10月31日だね」
「そう!だから何の日?」
「ああ…ハロウィンか」
「そうそう!それでね、ほら聖護くん」
「なんだい」
「お決まりの台詞をください」
「フ、トリックオアトリート、かな」
「うん、それを待ってたの、ふふ、じゃあ、はい、聖護くん、これ」
「うん?クッキー?」
「初めて焼いてみたの」
「僕としては悪戯するのも悪くなかったんだが…、」
「くすくす、でもこれ、粉から作るの超難しかったんだよ」
「察しはつくよ、僕の為にありがとう、ヒロイン」
「でね、見て、聖護くん」
「ああ、普通のクッキーではなく形まで作ってくれたんだね、これは昔ながらの幽霊をモデルにしたのかな」
「え?」
「ハロウィンと言えばジャックオランタンが定番だが…これはこれで味があっていいじゃないか」
「えっと…そう、かな…?」
「日本の怪談が綴られた本では語り継がれているね、まるで柳の木の下で泣いているような…前髪の鬱蒼とした雰囲気もよくできているよ」
「…聖護くん…あの、物凄く言いにくいんだけど…」
「どうかしたのかな」
「それね…聖護くんを作ろうと…がんばったの」
「僕?」
「ほんとにがんばったの、でも初めて作るクッキーは難しくて…」
「そう…僕だったんだね、…うん、まぁヒロインが作ってくれたことには変わりないからね、ありがたくいただくよ」

にっこりと笑う槙島さん。
でもクッキーを真っ二つに折って紅茶に浸したから、ヒロインちょっとハラハラ。
あと、こっそり見てたグソンさんが笑いをこらえてたらいいです。


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