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ナイト・クラスが校舎に入った後、優姫と零はデイ・クラスの生徒もいなくなった夜の寮の門の前にいた。 「大体分かってんだろ。あいつらとお前が違うことくらい」 「分かってるよ! 私と枢センパイが違うってことくらい…」 ______ 「我がナイト・クラスが新たに開発した血液錠剤(タブレット)の効果が世界中で認められた。 諸君は我が校の ・・・そして我ら『夜の一族』の誇りだ」 ナイト・クラスの授業、教師であるヴァンパイアが教卓の前に立って言った。 血液錠剤とは吸血衝動を抑えるもので、人工的な血液のようなものである。 「大したことじゃないわ」 「あんなのただのグループ勉強ですよ」 「でもやっぱりおいしくない…」 認められたことを大して気にしていない生徒がいる中、名前は自分たちが新たに開発した血液錠剤を1つ手に取って眺めながら言った。 「全くだ。いくら研究しても実際の血にたどり着くことは決してないだろう」 「だよねぇ。 あーあ。嶺帝だとアヤト達がおいしい血が飲み放題なのが羨ましいな…」 「コウ達も随分気に入ってるようだしな」 「おい名前、嶺帝ってところに美味しい血の子がいるのか!?」 そんなルキ達の会話に藍堂英(はなぶさ)が入った。 「ユイは心臓が特殊。 でも吸うのはやめといた方がいい…… 死にたくないならね」 「はぁっ!意味が分からない!」 名前の発言に理解が出来ず、腹が立った藍堂は教室から出て行った。架院暁も付き添いとして連れて行った。 「逆巻と無神を敵に回すことになるんじゃない…?」 去り際に、名前の呟きは足音にかき消された。 _____ 同時刻、優姫は屋上でデイ・クラスの夜歩きを見つけていた。夜歩きは2人の女子で1人は膝を怪我しているようだ。急いで屋上を飛び降り、木を伝って女子生徒の前に降り立った。 「校則でデイ・クラスは夜の出歩きを禁じています! 名前とクラスを言って寮に帰ってください! って怪我してるの!? 血はまずいわ…早く!寮に帰って!!」 「え、何!?」 「早くっ………誰!?」 女子生徒を急かしていると優姫はとっさに後ろに気配を感じた。 膝に付けているホルダーから即座に優姫の対吸血鬼用の武器、狩りの女神-アルテミス-を短い筒状から解放して、気配の正体に向けた。 しかし、それは軽く素手でいなされてしまった。 「おっかねぇ。さすが理事長仕込み」 架院暁がそう軽くおどけて見せたが、顔には余裕が残っている。 「ナ、ナイト・クラス… 架院暁先輩!藍堂英先輩! やだっ、うそ……」 突如として現れたナイト・クラスの2人に女子生徒は驚きの声を上げている。それを庇うように2人の前に優姫は立った。 mokuji |
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