僧侶との出会い1/2
「な、いいだろ? ねえちゃん」
「一杯くらい付き合ってくれよ」
「そんな、困ります。わたくしは……」
人通りの少ない通りから、そんなやり取りが聞こえてきた。
ユランが黒騎士の事件を解決したため、セントシュタインはまた活気が戻ってきたところだった。
そして、人気の少ないところでは、こんなやり取りは珍しくない。
(一体、どうすれば良いのでしょう……)
今は昼だし大丈夫だろうと高を括ったのが迂闊[ウカツ]だった。都会を甘く見てしまっていた。
しかし、都会とはさまざまな人達がいるものであり。
「ヘイそこのオッサン達、彼女から手を離していただこーか」
そう言ってオッサン達の前に仁王立ちをした少女も、さまざまな人達の部類に入っている人物であった。……取り分け不思議系に振り分けられる部類にカゴテリされているのだが。
「なんだぁ? 子供が口出すんじゃねぇよ」
「ガキはすっこんでろ」
最初、オッサンと呼ばれた者達(実際はオッサンより少し若めだった)は、ハエでも払うように少女をあしらった。それが、少女のカンに障ったらしい。
「ガキ?! ……ま、いい歳して女の子に無理強いするような汚い人達のことを大人って言うなら、大人になんかなりたかないかもねー」
「んだとコラ!!」
簡単に挑発に乗った男達は少女の方へと憤然と歩み寄った。自分の存在など忘れられたのでは、というほどの男達の様子に、最初に絡まれていた少女――フィリアは安堵すると共に心配になった。自分を庇って次の標的になってしまった少女をハラハラと見守る。
しかし少女はというと、自分が狙われているというのに、変わらず飄々としていた。
「聞こえなかったのか嬢ちゃん、痛い目見ることになるぜ?」
そんな脅しにも動じず、少女はこんな状況にも関わらず笑顔を浮かべてみせた。
「それはこっちのセリフだしね。大怪我する前に逃げた方がいいんじゃないかなー?」
「んだと、このガキ……!!」
少女の言葉を皮切りに、男達が一斉に飛び掛かった。