春風舞う季節と共に | ナノ


対決・空の英雄

「フィリアーーっ!! これどーゆーことーーっ?!」


「どうやらわたくし達をガナンの手下だとお思いらしいですが……」


「何でだよ?!」


ガナンなんて話でしか聞いたことない……。と思った直後、ユランは思い当たるふしを見つけた。


「あ、もしかして……?!」


ユランがイザヤールに切られた時――。


「あの時のフクロウ仮面ーーーーっ!!!!」


「フクロ……何だそれ?!」


ゲルニック将軍のことである。しかも、その上バルボロスに乗っていた。

グレイナルが敵と判断してもおかしくないのかもしれない……。


「フィリア、なんとかこの勘違いを説得出来ないか?!」


「やってみます!」


タクトの提案のもと、フィリアは説得を試みた。


「グレイナル様! わたくしです、分かりませんか?」


案の定、反応はあった。


「その声……フィリアか……?! まさか、お前……」


話が通じた……かと思われたが。


「まさか、ガナンの者共に捕らえられていたのか……?! 許さんぞ貴様ら!!」


「火に油ーーっ!!」


ユランが絶叫すると、グレイナルは燃え盛る炎を吐き出した。
さすが空の英雄……とか何とか言ってる場合ではない。


「あーっ、もう限界!! このままじゃ私達が丸焦げだよ! フィリア、悪いけどこっちも反撃するよ!」


「ユランさん! お手柔らかにお願いします……!!」


さすがにこのままではマズいと思ったのか、フィリアも最大限の譲歩をしてくれた。


「任せて、手加減はするから! ……キラージャグリングゥゥーーッ!!」


「それ本当に手加減してるか?!」


カラフルな球がグレイナル向かって放たれる。


「大丈夫。今回は投げただけで、いつもみたいに渾身の力を込めてるわけじゃ……」


「ぐわあぁぁぁーーっ!!」


「えぇぇーーっ?!」


地響きを立て、グレイナルは地に臥した。慌ててフィリアが駆け寄る。


「グレイナル様! もういい歳なんですから無理なさらないでください……」


グレイナルは、すでに結構な歳であった。


「お前……老竜に向かってなんてことを……」


「私のせい?!」


「いや、多分当たり所が悪かったんじゃないかな……。ユランのせいだけじゃないよ」


「……そう言ってくれるのはキルハだけだよおぉーーっ」


そう言って、ガバッと自分に抱き着き、泣きついたユランをあやすキルハ。
まるで親子か兄妹のようである。
タクトは何だかふて腐れた様子でそっぽを向いたが、この際は無視だ。


(意地悪ばっか言うヤツなんか知らないよ)


「……おのれ帝国の犬め。翼がキズついてさえいなければこのような結果には……」


「グレイナル様、動かないでくださいませ! 翼の傷が更に悪くなってしまいます!!」


「翼? そういえばユランが投げた球が何個か当たってた……」


タクトの言葉に、フィリアも頷いた。


「はい、グレイナル様は翼を悪くなさっているのです……!」


「えーい殺すなら殺せ! このまま生き恥さらすくらいなら死んだ方がマシじゃっ!」


「グレイナル様、ですからこの方達は敵では……」


「ま、待ちなされ! お待ちなされーっ!! 気になって追い掛けてきて見ればどうしてこんなことになっておるのじゃ!?」


グレイナルの誤解が解けるまで、あと少し。















対決・空の英雄
(英雄は、かなり気難しい方でした)



―――――
フクロウ仮面とはゲルニック将軍のこと!
多分、ユランは他の帝国三将にもあだ名付けるのではないかと思われます←

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