第二章 12
リタはちょっとした窮地に立たされていた。
「で、どういうことだ?」
「それは……そのぅ」
アルティナに詰問され、リタは口ごもった。
(どうしよう……)
本当のことを喋ってしまった方が良いのだろうか。しかし信じてくれるのかどうか……。
(しかも、簡単に喋っても良い内容なのかな?)
天使云々を話したところで、地上に影響を与える可能性は無いわけでも無い。それに。
(これといって、良い嘘とかも思い付かない)
元来、嘘をつくのが苦手なリタであった。
変な嘘をついても絶対バレるというのは、経験上すでに分かっている。
だったら、もう話しても別に良いのではないか。
まぁ鼻で笑われたり、逆に頭を心配されたりする、ということはありそうだが。
(この人なら……口が軽そうには見えないし、きっと話しても大丈夫……)
長い沈黙が流れる。
一陣の風が吹いた時、リタ俯きかけの顔を上げた。
「これから話すこと、信じてくれますか」
挑むような目をアルティナに向けると、相手も同様にした。
「……話してみろ」
それには、リタが天使界にいたところまで遡らなければならない――。
(守護天使としてウォルロ村を守っていた、あの頃に……)12(終)
―――――
次回、過去を振り返ります。
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