第二章 09
「あの、隊長さん……ですか? ありがとうございます」
「いえいえ」
隊長は、終始ニコニコとしていた。
「黒騎士退治に志望してくれる兵士はたくさんいたんですがね……皆が皆、黒騎士にこてんぱんにされて帰って来るもので。ほとほと困っていたところなのですよ」
かく言う私もそうなんですけどね、と隊長は頬を掻きながら苦笑した。
……全然隊長らしくない。
「あんた、本当に隊長か?」
リタが気になっていたが聞けなかったことを、アルティナはズバリ尋ねてしまった。
(な……なんで言っちゃうのかな、この人は?!)
しかし、やはり隊長の反応は穏やかだった。
「いやぁ、良く言われます。私はそういうイメージとは掛け離れていますからね。どちらかというと僧侶みたいだ、と」
それを聞いて安堵の息をついたリタだったが、すぐ隣のアルティナに隊長まで聞こえないくらいの小声で詰め寄った。
「なんで聞いちゃうの?! 私ちょっと我慢してたのに……!」
「我慢してたのかよ。つか、このくらい別にいいだろ」
「気にしてたらどうするの!!」
「知るか。隊長だったらそんな小っさいこと気にする訳が無い」
「何を根拠に?!」
とかなんとか言っているうちに、王座に着いたらしく隊長がピタリと足を止めた。二人が言い争っているのを見て、隊長は一言。
「仲がよろしいですねぇ……」
それを聞き、すぐに後ろをついて来ていた二人は「違う!!」と反論したのだが。
(二人同時に言われても説得力が無いんですけどねぇ……)09(終)
―――――
この話は容赦なくオリキャラが出ます……。まぁ主要キャラ以外の出番は少ないだろうけれど←
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