第九章 28-2
作業を開始してから、かれこれ数時間。
幽霊探しは相変わらず続いている。アルバムを開いてはくまなく探しているのだが、なかなかそれらしき人物は出てこなかった。
卒業アルバムも、もう残り少ない。ほとんど見終えてしまっていた。
「あの方、教師だと思ったのですけれど……」
カレンがぽつりと呟く。しかし、一見教師風の人物に見えたのだが……とカレンは首を傾げた。
「モザイオさんに憑いてる幽霊は一体誰……?」
リタには見当もつかない。教師でなければ誰だろう。モザイオの関係者だろうか。モザイオの知っている人物なのだろうか。
「……ここを出て、図書室で最近のものも見ますか?」
レッセがアルバムを整理し、片付けながら提案する。自分は幽霊探しに協力出来ないから、と本棚のアルバムを出し入れしていたのだ。
アルティナが、最後の卒業アルバムを眺めているところだった。
「……果実は初代校長の墓に置かれたんだよな」
「うん。でもその後の行方が……あ、」
リタは短く声を上げる。そうだ、まだ一番気になるものを見ていなかった。
「……誰か、見たか?」
まさかと見渡せば、アルティナの問いかけに、首を縦に振る者はいない。誰も見ていないらしい。いや、レッセは見たことあるのかもしれないが、ここ旧校舎では見ていない。
なぜか、エルシオン卿が校長であった時の卒業アルバムは見つからなかった。古すぎてアルバム自体ないのか、それとも単に旧校舎に保管されていないだけなのか。
「レッセさん、どこかに初代校長が載っているものはありませんの?!」
「え、えーと……あ、そうだ!」
何か閃いたらしいレッセは、今度は別の本棚で何かを探し始めた。レッセは、この旧校舎の本の配置にかなり詳しかった。何度も出入りしているのだろうか。
だが、旧校舎は生徒が無断で入ってはいけないと、それも当のレッセから聞いたことだ。それに、旧校舎の開け方は教師しか知らないとも。
リタが聞こうか聞かまいか迷っていると、レッセは「あった、」と一冊の本を取り出した。卒業アルバムよりもずっと分厚い本だ。
「それは……?」
「学院の歴史が書かれた本ですよ」
レッセはそう答えて、パラッと本を数ページめくった。そうして出てきたのは、エルシオン学院の創設者だという人物の肖像画。それを見たリタは息をつめた。横でアルティナが「やっぱりか」と呟く。
「これって……!」
「間違いありませんわ、この方です!!」
カレンが肖像画の載るページを指差した。
モザイオの後ろにしばしば見える幽霊は、本に描かれた、この人物――エルシオン卿であったのだ。
(初代校長の幽霊)28(終)
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ドラクエにカメラあるか分からないから、昔のカメラ用いてみた。ただし、説明とか実際の使い方が合っているか保証はないので要注意←
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