第一章 08-2
時は経ち、翌朝。
「……リッカ、わたしキサゴナ遺跡に行ってくる」
朝食を食べ終わると、リタはテーブルの向かいにいるリッカにそう告げた。
「ダメよ、危ないでしょ! それに病み上がりなんだから……」
案の定、リッカは反対した。
しかしリタも引かない。
「ちゃんと峠にも行けたんだから大丈夫だよ! それにリッカ、ルイーダさんのこと気になるんでしょ?」
ルイーダは依然としてウォルロ村に訪れていなかった。リッカは、父の知り合いかもしれないその女性のことを、ずっと気にしていたのだった。
「なんじゃ。昨日からずっとボーッとしてると思ったら……そういうことだったのか」
横から口を開いたのは、リッカと共に暮らすリッカの祖父だ。
チャンス、とばかりにリタは畳み掛ける。
「そうなんだよ、おじいさん! ルイーダさんのことが心配だし……お願い!! いいでしょ?」
根負けしたリッカは、ふぅ……と溜息をついた。
「……分かった。峠にも行けちゃうくらいだし……リタって私が思ったより全然強いんだね。でも、だからって無理はしちゃダメよ」
「ありがとう!! じゃあ早速準備して行ってくる!」
喜々としてリッカにお礼を言った後、食器を片付けて足早に外へ出た。
「あ……そうだ、ニードさんも誘った方がいいのかな?」
あの村長の息子は、リッカの為なら何でもやりそうだ。
(一応、様子を見に行こうかな)
そう思い、村長の家の前までやって来たのだ……が。
「怒鳴り声が聞こえる……」
何を言っているのかはサッパリだが、とにかく村長の怒鳴り声がやたらと聞こえてきた。
「もしかして、まだ昨日のことを怒られたりとか……いや、まさかね……」
だが、そのまさかだったりする。
「……今日は一人で行こっと」
早々にニードを誘うことを断念したリタは、キサゴナ遺跡へと足を進めるのだった。
(いざ、キサゴナ遺跡へ!)08(終)
―――――
次回、ルイーダさん登場!?
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