第四章 02
どうやら、女神の果実は大神官が食べてしまったらしい。
探すにしても、食べてしまっては元も子もないのではないか、と事実に打ちのめされていたところ、同じくダーマ神殿を探し回っていたサンディが戻ってくるなり、憤慨して騒ぎ出した。
「あーっ、もう……ここにもテンチョーいないんですケド?! 子供じゃあるまいし、迷子ってワケじゃないだろうし……まったくどこに行っちゃったんだか!」
サンディは地上に戻ってからというものの、ひたすらに“テンチョー”なる人物を捜していた。本名が“テンチョー”かも定かではない。リタもサンディに協力したいところなのだが、なかなか難しいのが現状である。というのも、サンディがくれるのは、容姿に関してもなかなか分かりずらい例えのみだからだ。
「サンディ、その“テンチョー”って人、もう少し詳しく教えてくれない? そうすれば私も捜せると思うんだけど……」
「だから言ったでしょ! うずしおキングとアンクルホーンとギガンテスを足して3で割った感じなんだってば!!」
「それが分からないんじゃん……!」
とりあえず、体格が良さそうだということは分かる。しかし、そのモンスターから想像出来る人物像と言ったら、町でたまに見かける荒くれ者みたいな人になってしまうのだが……。
そう話すと、サンディは首を傾げたものの肯定も否定もすることはなく。
「あー、まぁ……当たらずも遠からずってトコかな」
「え、ちょっと待って“テンチョー”って一体何者?!」
何者、と言われたら天の箱舟の運転手なのだけれど。
「ま、そのうち見つかるっしょ。でもさ、リタが探してる女神の果実は、どーも大神官って人が食べちゃったっぽくない? どうすんの?」
「そうなんだよね、どうしよう……」
食べてしまい、もう無くなってしまった果実をどうすれば良いのか。
「しかも、食べたら何が起きるか分からないし……。とりあえず、大神官様って人を捜さないと」
「さっきの大臣っぽい神官に果実のこと話したら? それから大神官を追っかければいいと思うんですケド」
「あ、そっか。もしかしたら大神官の行方が分かるかもしれないし……」
まぁ、その可能性は低いと思われるのだが。
とにかく、リタ達は神官を見つけるため、再びダーマ神殿内を奔走するハメになった。
(神官を捜すだけでも一苦労)02(終)
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なんか五・七・五みたいになった。
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