間奏U 09-2
「アルティナ、今日も行ってくるの?」
「ああ」
「……そう、」
フィウメがカラコタに住みつき始めてから随分と時間が経つ。
一年前くらいから、手伝うようになった盗賊の仕事。デュリオはかなり渋ったが、いつまでも暇人よろしくカラコタに居座っているわけにはいかない。とはいえ、盗んだ財宝とかを運搬する係であったり、人が来ないか見張りをしたりと言った、盗みには直接的に関係しない小さな仕事をさせてもらっているのだが。
「私も行っちゃ……ダメ、なんだよね」
「当然だろ。お前は火に当たってるジーサンのとこに薪持ってって、小遣いでもせびってこい」
「えー……」
露骨に嫌そうな顔をするものの、聞き分けは良いのでそこは大人しく引き下がった。あるいは、足手まといになる自覚があるのか。
「ねぇ……アルティナ」
「何だ」
「アルティナは、本当にこの町が嫌い?」
いきなりの問い掛けに、一瞬呆気にとられたものの、アルティナはすぐに答えた。
「当然だろ。こんなとこ、すぐに出てってやる」
だから、今はこんな形で頑張るしかないのだ。
「……そう」
フィウメの顔が、陰りを帯びる。そう見えたのは、部屋が暗いせいなのか。
「……さっきから何なんだ?」
「ううん、何でもない。いってらっしゃい」
頑張ってきてね、と笑いかけた笑顔が、なんだか作り物みたいなのが気になったけれど、もう行かなければ――。(この時異変に気付いていれば、)09(終)
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