間奏U 06
しばらくすると、子供が目を覚ました。見慣れない場所に不安を覚えたのか、半身を起こし、キョロキョロと辺りを見渡している。
そして、傍らの机に突っ伏す少年の姿を認めた。
「あ、あの……?」
「ん……ああ、起きた?」
寝ぼけ眼を擦り、欠伸をする姿はまるで猫のようだ。そんな姿をボケッと見てると、「何、」と少年に怪訝な顔をされてしまった。とっさに「何でもない」と首を振ったが、何でもないとは言えない状況だったということを思い出す。
「あの、ここはどこですか? というか君だれ? なぜ私はここに?!」
「とりあえず落ち着け。ここはカラコタ橋。覚えてないか? お前、橋の手前で行き倒れてたんだ」
言われて、思い出す。
自分はあの時力尽き、道に倒れ込んだ。しかし、どうやら人がそれを拾ってくれたらしい。全くありがたいことである。
「そうか、君が拾ってくれたの? ありがとう」
「別に。てか、お前あんなところで倒れてたのに、よく身ぐるみ剥がされなかったな。普通だったらすっ裸に剥かれて川に落とされるから」
「え゙っ、……本当に?」
だとしたら、危ないところだった。
身ぐるみまで剥がされてたら人生に絶望するところだ。……すでに絶望しかけているけれども。
「君には本当に助けられたね、ありがとう。そうだ、名前は?」
「……アルティナ」
「アルティナか……。私は、フィウメ。突然で申し訳ないんだけどアルティナ、私をしばらくここに住ませてくれないかな?」
「……は?」
少し……いや、ものすごーく嫌な顔をされたような気がするが、気のせいということにしておこう。
これが、二人の出会いであった。(こうしてカラコタの住人が一人増えた)06(終)
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アルティナの口調を少し幼めにしたかったけど……あんまり変わんないな。
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