第五章 12-1
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ツォの浜 村長 プライベートビーチ
!関係者以外立入禁止――――――――――――――――――――
「……あった、村長さんのプライベートビーチ」
目の前の看板の文字を追い、目的地にたどり着いたことを知る。
ここに来るまで、幾度行き止まりにぶつかったことか……。迷子にならなかったのは奇跡に近いかもしれない。
しかも途中、海賊ウーパーの襲撃に遭ってしまい、そこで余計に体力を消耗。
正しい道を通ればモンスターに出くわす確率も低くて済んだのだろうが、洞窟を網羅したリタにはそんなこと関係が無かった。
村人も、プライベートビーチの存在を知っている者は少なく、ましてやその直前の洞窟の中に入ったことのある人などいるわけがない。――つまり、地図というものが存在しなかった。
もしかすると、村長は持っていたかもしれないが、それは本人のみぞ知る話である。
と、困難極まりない洞窟攻略であったがしかし、疲れたなどと言っている暇はない。――リタ達の目的は、洞窟制覇なんかではないのだ。
「見つけたっ、オリガさん村長さん!」
視線の先で、オリガと村長が何事か話していた。しかし、オリガは村長から一歩また一歩と離れると、やがて話を聞くのを拒むように大声をあげた。
「違う……やめて! あなたはあたしのお父さんなんかじゃない! あたしのお父さんは……!!」
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