「さあら!」

公平を探していたら、後ろから公平の声がして、ゆっくり振り向く。
まだ怒ってるのか、どうかも判断できなくて、怒ってたら、どうしようって。
そう思ったら振り向いたけど、顔を上げられなかった。

「顔上げろって」
「……やだ」
「……ごめん、俺が悪かった」

顔をあげないまま、地面を見つめたまま居たら、大きなため息と一緒に、公平のごめんが聞こえて、わたしはゆっくりと顔をあげた。
そしたら、ないてるみたいな顔の公平がいて、多分わたしも同じような顔してるんだろうなって思った。

「さあらも、ごめんなさい。気にすることじゃなかった」
「違う!違うって、俺が悪い。さあらは悪くねーから」
「……でも」
「もしお前が、クラスの奴とかに気軽に触ったり触られたりしてたら、俺はキレる自覚あるし。なら、お前だってやだよな。ごめん」
「こうへい……」

ほら、こい。そういって広げられた腕を拒否なんてできるはずない。
もう目の前はぐしゃぐしゃで、ぽたぽた涙も落ちてるのが自分でもよーくわかる。

ぎゅうと抱きついて、公平の胸の中で、余計に涙がこぼれてとまらなくて。

「泣け泣け、俺がわるかったー」
「こうへいのばかぁ」
「ごめんな」
「一人で学校いくのやだぁ」
「明日は一緒にいこーな」
「LINEも無視したぁ」
「ごめん、寝坊した」
「わたし以外の子、触っちゃやだぁ」
「おー、分かったって、反省してる」

我慢してたこと全部吐き出して、吐き出して。
全部伝えたころには、公平の服はびっしょりしてたけど。
公平は気にすんなって笑ってたから、わたしも、気にしないって笑った。

「やっと笑った」
「やっと笑えた」

2日ぶりに手を繋いだら、本当に幸せで。ほっとした。
こうして私達の喧嘩はこれにて終わり。しばらくはもう喧嘩はいいかな。そう思った。

けんかしました


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