「あ、雨」

久しぶりのボーダー任務のない平日。最近忙しいんだよね。
公平と一緒にのんびり帰るのもほんとに久しぶりで、ちょっと嬉しい。

「結構降ってきたな」

せっかく少しでもデート気分味わってたのに、灰色の空から水粒が。もう!タイミング悪いなぁ!
慌てて公平と二人で近くの店先に避難する。

「タピオカ、飲みたかった……」
「諦めろって。今度連れてってやるから」
「はぁい」

しょんぼりしてたら、ちょっと濡れて冷たくなった公平の手が私の手に重なって。
それだけで少し慰められるんだから、本当私って単純だと思う。

「傘、持ってんの?さあら」
「持ってませーん」
「だよなー。走るか」

ポケットにハンカチとか、カバンの中に折りたたみの傘とかそういうのを忍ばせるタイプの女子ではないのだー。
意外って言われるけど、割と私は大雑把です。

家までは大体走れば5分ってところ。
しょうがないかとため息吐き出して、顔を上げた。
そしたら公平が私のカバンをひょいと持って行ってくれたから、頑張れそうです。
繋いだ手を離すのは寂しいから、そのまま雨の中に飛び出した。置いていかれないように必死で公平についてくのです。




「ただいまー。公平待っててタオル取ってくるね」
「おー」

お風呂場からバスタオルを持って玄関に戻る。
その時お風呂のスイッチを入れるのは忘れない。
濡れた制服を脱いで、自分の着替えと公平の着替えを引っ張りして。脱いだ制服はとりあえずエアコンの風に当てておく。

そんなことしてたらあっという間にお風呂が貯まった音がした。

「公平、先お風呂はいる?」
「あーお前先行ってこい。風邪ひくとやべーし」
「公平も風邪引いちゃやだよ?」
「そこまでやわじゃねーから大丈夫だって」

むう。
しょうがないのでなる早でお風呂を済ませまーす。





「公平、お風呂どうぞ」
「おー」

すれ違いざまの頭ぽんぽんに顔が緩む。
いつも公平にどれだけ甘やかしてもらっているかこういう時実感するのです。



ソファーでぼーっとしてたら公平が現れる。

「あ、もーまた髪の毛乾かしてないー」

頭からかぶったバスタオルからチラリと見える金色の髪はまだ滴立っていて。乾かしてないというか拭いてすらない。

「ん」

迷うことなくソファーに近づいてきた公平は、私に背中を向けて、ソファーの前に座り込む。
何をしてほしいか、多分誰でもわかる露骨な態度。

「しょうがないなぁ」
「ほら、ドライヤーな」
「準備いいなぁもー」
「つめてーから早くして?」
「はいはい!」

少し甘えん坊になった公平は、多分私しか知らないから。
もう!なんて言いながら、ちょっとだけ嬉しかったのは、内緒。

あめびより


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