7
ゲールは、怪しげな城の前に到着した。
相当歩いたのか、やや疲れているようだ。
でも彼は、いくつもの試練を乗り越えてきたのだ。
少々疲れたって、
「これからが、本番だ」
そう言うと、城の門に向かった。
門には、2人の門番がいた。
門を通ろうとするゲールに、彼らは声をかけた。
「入城許可証をお持ちですか?」
「そんなもの、持ってないよ」
「ならばお帰りください。ここにはそれがないと入れませんので」
「そうか。だったら……」
彼は、両手にナイフを構えた。
「無理矢理、入るのみだ」
ナイフは、門番の胸に突き刺さった。
そして彼は門を開け、あっさりと城に侵入したのだった。
だが、城には誰もいない。
おまけに、階段がいくつもあり、どれがどこに繋がっているのか分からない。
下手すると迷子になりかねない。
その時、一人のメイドの格好をした少女が、彼に話しかけてきた。
「あの、もしかして……ゲール・ミルトリーさん、ですか……?」
「!!」
彼は驚いた。
それもそのはず、話しかけてきた少女に、見覚えがあったのだ。
「じゃあ君は、マリン……なのか?」
「はい! ということは、やっぱりゲールさんなんですね!」
「……ああ。で、君は何でここにいるんだ?」
「えっとですね……」
「気がついたら、この城にいて、気がついたら、メイドとして働いてました!」
「……そ、そうなんだ……」
彼は、はぁ、とため息をついた。
彼女の名は、マリン。
その名の通り、髪の色も瞳の色も、透き通るような青。
そして、大海原のような広い心を持っている。
しかし、考えないで行動することが多いので、周りの人物も手を焼いている。
ゲールも、その一人である。
2人が初めて会ったのは、タイムトラベルの後。
まだ現代の生活に慣れない彼に、マリンが声をかけたのが最初だった。
ゲール達が日本に行って以来、2人が会うのは初めてである。
だが彼女は、今置かれている状況を理解していないようだ。
ーーまずはこいつに、事態を理解してもらわないとな。ここのボスを倒すのはそれからだ。
ーー……ていうか、
ーー何で敵の城でこいつに会わないといけないんだよ!!
◆
一方、再び現れた謎の物体から逃げてきたユーミン達は、これからの作戦を練っていた。
「……ということで、ローリーとサム、そしてジャックは、出口探し。見つかったら、住人をどんどん元の世界に帰してくれ」
「で、俺とユーミンが城に行く、だな」
ユーミンの言葉に、リッキーが付け足す。
「なら、行動開……」
「待った待った!!」
ジャックが行動開始を宣言しようとした途端、ローリーが待ったをかけた。
「どうした、ローリー」
サムが尋ねる。
「俺達のボスのことを忘れてないか?」
「あ」
ジャックを除いた全員が、しまった、という顔になる。
「……あいつのことだ、一人で城に侵入した可能性が高い。へまをしてなきゃいいんだが」
ユーミンが分析した。
「まあ、そうだな。じゃ、気を取り直して、行動開始としますか」
「ああ!!!!」
[ 10/73 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]