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ゲールは、怪しげな城の前に到着した。
相当歩いたのか、やや疲れているようだ。
でも彼は、いくつもの試練を乗り越えてきたのだ。
少々疲れたって、

「これからが、本番だ」

そう言うと、城の門に向かった。
                            

門には、2人の門番がいた。
門を通ろうとするゲールに、彼らは声をかけた。

「入城許可証をお持ちですか?」
「そんなもの、持ってないよ」
「ならばお帰りください。ここにはそれがないと入れませんので」
「そうか。だったら……」

彼は、両手にナイフを構えた。

「無理矢理、入るのみだ」

ナイフは、門番の胸に突き刺さった。


そして彼は門を開け、あっさりと城に侵入したのだった。


だが、城には誰もいない。
おまけに、階段がいくつもあり、どれがどこに繋がっているのか分からない。
下手すると迷子になりかねない。


その時、一人のメイドの格好をした少女が、彼に話しかけてきた。

「あの、もしかして……ゲール・ミルトリーさん、ですか……?」

「!!」

彼は驚いた。
それもそのはず、話しかけてきた少女に、見覚えがあったのだ。

「じゃあ君は、マリン……なのか?」

「はい! ということは、やっぱりゲールさんなんですね!」

「……ああ。で、君は何でここにいるんだ?」
「えっとですね……」


「気がついたら、この城にいて、気がついたら、メイドとして働いてました!」


「……そ、そうなんだ……」


彼は、はぁ、とため息をついた。


彼女の名は、マリン。
その名の通り、髪の色も瞳の色も、透き通るような青。
そして、大海原のような広い心を持っている。
しかし、考えないで行動することが多いので、周りの人物も手を焼いている。

ゲールも、その一人である。
2人が初めて会ったのは、タイムトラベルの後。
まだ現代の生活に慣れない彼に、マリンが声をかけたのが最初だった。
ゲール達が日本に行って以来、2人が会うのは初めてである。


だが彼女は、今置かれている状況を理解していないようだ。


ーーまずはこいつに、事態を理解してもらわないとな。ここのボスを倒すのはそれからだ。

ーー……ていうか、

ーー何で敵の城でこいつに会わないといけないんだよ!!


                                ◆


一方、再び現れた謎の物体から逃げてきたユーミン達は、これからの作戦を練っていた。
「……ということで、ローリーとサム、そしてジャックは、出口探し。見つかったら、住人をどんどん元の世界に帰してくれ」
「で、俺とユーミンが城に行く、だな」
ユーミンの言葉に、リッキーが付け足す。
「なら、行動開……」

「待った待った!!」

ジャックが行動開始を宣言しようとした途端、ローリーが待ったをかけた。
「どうした、ローリー」
サムが尋ねる。

「俺達のボスのことを忘れてないか?」

「あ」

ジャックを除いた全員が、しまった、という顔になる。

「……あいつのことだ、一人で城に侵入した可能性が高い。へまをしてなきゃいいんだが」
ユーミンが分析した。

「まあ、そうだな。じゃ、気を取り直して、行動開始としますか」


「ああ!!!!」

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