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任務当日、朝7時50分。
ゲールとユーミンの家には、既に5人が集まっていた。
彼らは円を作り、その真ん中に壺が置かれていた。
ゲールが口を開く。
「この前も誰かが言っていたが、久々の5人での任務だ。現地の情報が少ないのが残念だが、思いっきりやってくれ。では、行こう」
彼らは壺に近づき、右手を一斉に壺に突っ込んだ。
その瞬間、彼らの身体は、壺に吸い込まれていった。


                   ◆


そこは、真っ暗だった。
ユーミンは辺りを見渡すが、そこに在るのは暗闇と自分だけだった。
試しに地面を踏み締めてみると、ガサッ、という音が聞こえた。
となると、ここは森のようだ。
空高く生い茂った木々が、闇を創っていた。
「開始早々、分断か……ん?」
彼女の前方が、微かに動いた。

彼女は、右手にナイフを構えた。

そして、そこから飛び出してきた物体に、それを素早く放った。


                    ◆


ローリーとサムは、静かな住宅街にいた。
暗い街を、満月だけが照らしている。
「……夜だな。サム、今の時間分かるか?」
サムは自らの腕時計を見たが、針は今までいた世界の時刻、7時50分過ぎを指したままだった。
「分からない」
サムは呟く。
「でも、今あわてて動くよりも、夜明けを待ってからの方がいいと思うけど」
彼の意見に、ローリーも頷く。
「確かにそうだな。夜が明けたら、住人に聞き込み調査をしよう」


                    ◆


リッキーは、砂浜に一人、佇んでいた。
聞こえるのは、打ち寄せる波の音だけ。
彼は少し歩くと、足元に何かが落ちているのを見つけ、それを拾った。
それは、一枚の紙だった。
紙には何かが書かれていたので、月の光を頼りに、書かれているものを読んだ。
そして、彼は驚いた。

「まさか、これって……」

それは、「壺の国」の地図だった。


                     ◆


ゲールは一人、何もない草原にいた。
彼の視線の先には、城らしき建物。

(普通に考えると、あそこにはこの国の支配者がいる可能性が高い。今、仲間と離れて、ここに一人でいるってことは、)

(一人で突入せよ、ということか)


彼は、城に向かって歩き出した。

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