終わらない恋になれ2 | ナノ



続きです
※裏注意



不意に名前を呼ばれた気がして静雄は足を止めた。上がる息に胸は上下し、後ろを振り返る。


「……っ臨也!」


視線の先、胸の辺りを強く握りしめ膝をついている臨也の姿に静雄は息を飲んだ。とっさに駆け出し近くに歩み寄ると臨也は嫌な汗を流しながら、は、は、と息を詰まらせている。大丈夫かと背中を擦ってやると、臨也は静雄の腕にしがみついた。


「し、ず、ちゃ、」
「無理して喋んな!」


臨也は来てくれた静雄に喜びを感じつつ、ああ、これは過呼吸症候群、所謂過呼吸発作というものか、と臨也は静雄の焦ったような瞳を見つめ、他人事のように思った。確か症状は一時間以内には治まるはずだ、とその場を乗りきろうと静雄の体操着を強く握りしめる。

苦しそうに上下する臨也の肩に静雄は奥歯を噛みしめた。静雄もこの症状が過呼吸発作である事は理解していた。ただ背を撫でてやる事以外、どうする事も出来ない事が歯痒かったのだ。だがその時、ふとある事を思い出す。過呼吸発作の処置は――…

臨也、と真剣な声で呼べば臨也は生理的な涙が溢れ潤んだ瞳を上げた。しずちゃん、と苦しそうに呼ぶその口に、静雄はゆっくりと口づけた。


「、んっ……!」


過呼吸発作への処置はまず、鼻で息をさせる事。驚きの色に染まる臨也の瞳を見つめながら、静雄は未だ唇を離さない。息が続かない臨也がみせた小さな抵抗の後、事情を理解したのか鼻でゆっくりと息をし始めた。すー、と息を吸い、そして吐く音が聞こえ、静雄は安心したように唇を離す。臨也は少し息を切らしつつも、赤くなった顔を隠すように口元をぐいっとジャージの裾で拭った。


「シズちゃん、いきなりすぎ…!」
「俺だって必死だったんだよ!」


臨也は深呼吸をするように大きく息を吸う。大丈夫か、と静雄が聞くと、臨也はじっと静雄の瞳見つめ、こてん、と胸の中に倒れた。


「…ありがとう、」


ジャージに顔を埋めているせいかぐぐもって聞こえたが、確かに聞こえた、感謝の言葉。すると静雄は臨也の腕を引いて勢いよく立ち上がった。
何事かと臨也は目を丸くするが、静雄は至って真面目に保健室に行くぞと言い出した。もう大丈夫だと臨也は答えるが、静雄は頑として聞く耳を持たなかった。そのまま手を引いて行くのかと思えば静雄はまた膝をつき、臨也に背を向けた。


「え、なに、」
「乗れ。」
「……大丈夫だってば。」
「いいから、乗れよ、」
「あとちょっとでゴールなのに。このまま行けばシズちゃん、1位だよ?」
「関係ねえよ。」


手前が居ねえなら、関係ねえよ。静雄の言葉に臨也はぐっと口を閉じ、何も言わずに大きな背中に体重を預けた。


(シズちゃんって本当にバカ、だなあ…)










とさり、と優しくベッドの上に下ろされる。保健室に来る間、何度も大丈夫だと言い続けた臨也だったが静雄が足を止める事はなかった。

静雄が臨也を下ろすと二人の間には沈黙が続いた。今さらになって、喧嘩をしていた事を思い出す。居所が悪い。だが、その沈黙を破ったのは静雄だった。


「………手前、よくなるのか?」
「え、あ、過呼吸のこと? さっきのが人生で初めての経験だよ。あー苦しかった!」


臨也が冗談混じりに笑ってみせるが、ふとその笑顔も消えてしまう。瞳を伏せ、臨也は重い口を開いた。


「きっと、不安とストレスが重なったせいだよ。」


あと、運動かな。と苦笑いを溢し臨也は笑う。静雄はその言葉に“過呼吸発作の原因はあの喧嘩にある”という本当の意味を感じ取った。とっさに悪かった、と謝ろうと口を開いた瞬間、それはあの時とは逆に、臨也の唇によって塞がれていた。


「ごめんね、シズちゃん。」


仲直りしようよ、と囁くのと同時に、静雄は臨也を柔らかなベッドへと押し倒していた。








「ひ、んぁっ、し、ずっ」


ぐちゅぐちゅと後ろから突き上げるような体制で臨也は必死にシーツを握りしめ、静雄の激しい揺さぶりに耐えていた。揺れる度にベッドのスプリングがギシッと音を立てる。臨也の細い腰を握って刻み付けるように律動を繰り返せば甘い喘ぎ声は次第に大きくなっていった。静雄も荒い息を吐きながらガツガツと突き上げていく。


「ああ、あ! 激し、い…しず、ちゃぁ!」
「いざ、や、締めすぎ、だ…!」
「も、むり、…んぁあ!」


臨也の熱い肉壁の締め付けに静雄も限界を感じ始めた。ぐるりと臨也の身体を繋がったまま反転させ仰向けし、汗でへばりついた前髪を払ってやる。見れば臨也の性器も張り裂けんばかりに仰け反っていた。ククッと喉を鳴らすと、見るな変態!と頬を紅く染めながら罵倒される。静雄はゆっくりと顔を近付け、キスを落とす。好きだ、と囁くと今度は臨也が手を伸ばし静雄の肩に絡め、引き寄せた。そのまま何度目かのキスをすると、ただ、うん。とだけ答える。


「いくぞ、」


静雄はその言葉を合図に正常位で激しく突き上げ始めた。


「んんっあ! ひ、あ! あっあっ」


静雄は臨也の首筋に舌を這わせながら突き上げる。ぞわぞわとする感覚に身を捩る臨也を逃がさないとばかりに静雄はがっちりと臨也の顔の横に肘を付き、密着するような形で激しく突き上げた。臨也は静雄の体操着にしがみつき、腰を揺らす。


「ああ、イ、ク、しず、ちゃぁ、イ、ちゃ、」
「俺も、げん、界、」
「ひ、ぁ、ああ、んっ! ぁああ………っ!!」


静雄がズンッと奥を突き上げた瞬間、臨也は弓なりにしなりビクンッと大きく痙攣した。自身の性器から吐き出された精液は臨也の腹だけでなく静雄の腹まで汚し、体操着の白に混じった。荒い息を吐きつつ静雄は臨也の中に出してしまった事にはっとする。とっさに抜こうと身を起こすが、それば臨也の手によって阻まれてしまった。

誘ってるのかと聞くと軽く頬を叩かれるが、聞かないでと返され、静雄と臨也は時間の限り身体を貪り合った。



終わらない恋になれ




(20101123)

もも様リクエスト「マラソン大会中、過呼吸で倒れそうな臨也を助ける静ちゃん(最後まで走りきったら絶対一位なのに、途中で走るのを止めて、臨也を保健室までおんぶ→出来れば裏へ←)」でした!
い、如何でしたでしょうか…!
すごく萌えるシチュエーションを頂いたのにも関わらず臨也さんは激しく乙女だし雰囲気甘々にしすぎたのではないかとガタブルしております><
リテイクも受け付けておりますので!
何度もコメントを下さったもも様に感謝の気持ちを込めて捧げます!

この度はリクエストありがとうございました!
これからも「ひとりぼっち」をよろしくお願い致します!


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -