短編小説 | ナノ


※AV男優パラレル




 目の前にはキングベッド。窓にはレースがかかり、男の部屋には見えなかった。
 静雄は忙しそうに反射板や照明、カメラ器具を設置するスタッフを横目に見ながら小さくため息をついた。


 なりたくてなった訳じゃないアダルトビデオの男優という仕事。
 給料が良いからと誘われ何件かの仕事をしただけだった。
 静雄自身、あまり女性との関係を持った事がなかった。だが静雄はAV男優として小さな好評を受けた。男として気持ちいいと思われたのなら喜ばしい事なのかと頭を悩ましたが何とも言えない。

 男優の顔は、はっきりと映る事はない、と言われ月に何度か呼ばれる程度に仕事をしてきた。性欲処理としてもいいじゃないか、という誘い文句に乗り今はセックスに依存していたところがある。
 今日の相手はギャラが良いと誘われ、ついてきてしまった。
 その相手が折原臨也だと、男であるとは知らずに。














「はじめまして。折原臨也です」


 真っ白なバスローブを羽織り、臨也は姿を表した。
 見える胸元と足には肌色がチラチラと覗き、下には何も着ていないのがわかる。細いライン、しっとりとした黒髪、深みのある赤い瞳。小振りな唇が紡ぐ名前も、とても魅力的な名前だった。
 静雄はドキリと胸を高鳴らせたが、冷静を装う。


「平和島、静雄」
「じゃあシズちゃん。今日はよろしくね」
「よろしくお願い、します」


 男の相手は初めてだった。
 クスッ、と笑う臨也に見とれ静雄は地に足を縫い止められたように動かなくなってしまった。臨也のバスローブ姿に静雄は逆に自分がワイシャツにズボンというラフな格好に恥ずかしさを覚えてしまう。
 どう対応していいのかわからず、頭を掻いていると緊張してるの? と臨也は首を傾げた。


「お、おう。男相手は、初めて、だからよ」
「………へえ」


 目を細める臨也に静雄は不味い事を言ったかもしれない、と咄嗟に口をつぐむ。
 だが臨也はパッと笑みを浮かべると腰にあるバスローブの結う紐を手にとった。


「今日のコンセプトは“童貞くんに優しくレクチャー”らしいから」


 ぴったりだね。と言う臨也に静雄は童貞な訳じゃねえ! と声を上げる事はなかった。
 するりとバスローブがはだけ、現れた色白な身体に目を奪われたからだ。
 そして男と寝るのは実際初めてなのだから対して変わらないからだった。


「改めてよろしく、シズちゃん」






(20110323)

携帯要領オーバーなので一旦切ります。
みさくら語臨也さんにご注意ください
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