糖尿病





「甘いものはもう食べないで」



そう彼女にいわれたのは数分前


何で?と聞いても理由は言わず、甘いものは食べるなと言う。


俺は甘いものを食べないと死ぬわけで、
糖分で身体が動くわけで、

まぁつまり甘いものを食べないとか
あり得ないわけで…




「むり」

「な、なんで!」

「なんでって…こっちが聞きてぇっての。なんで?」

「と…糖尿病になっちゃうよ?」

「…それだけ?」

「それだけって…!おっきいことだよ!」



糖尿病になるという理由だけで、
なぜそんなに必死になるのか…

こちとら糖尿病寸前患者である。




「しらねぇよ、甘いもんくわないと銀さん死んじゃうのー、おわかり?」

「死んでもいいから甘いものはだめっ!」

「死んでもいいのかよ!!」




糖尿病はだめだけど死ぬのはいいのか…?え?おかしくね?




そのとき、玄関が開く音がした。
大方、神楽と新八が買い物から帰ってきたんだろう



「銀さーん?拓ちゃーん?いますかー?」

「おう、新八。神楽は?」

「神楽ちゃんはそのまま定春の散歩に行きましたよ?…ってなにしてるんですか二人とも。」


「聞いてくれよ新八ィ、拓がいきなり甘いものは食うなって。」

「え?昨日まで沢山食べてって銀さんに甘味作ってたのに…どうしたの?」




新八がのぞきこむと、拓はうつむいた。


「糖尿病に…なるから」

「結構今更じゃない?それ。」



新八がつっこむと、拓はバッと顔をあげた。





…なになきそうなツラしてんだ…






「糖尿病の…合併症でね?…失明しちゃうんだって…っ」

「失明?糖尿病で?」

「ばーか、そう簡単に合併症なんておこらねぇよ俺には」




「でもっ」





「「でも?」」





「銀ちゃんが私を見なくなるなんて、嫌…」






貴方の世界から私が消えるなんて。

その瞬間甘いものは食べないと決めた

三日後には食べた








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bkm