翔ちゃん中編 | ナノ











今日は二回目のCMの打ち合わせ。
…といっても、元々接待の身だから、私は関係がない。








会議が終わる頃には、私の仕事も終わって、帰宅するところだった。





車に乗ると、トントン、と窓を叩かれた。
そちらを見ると、息を切らした翔がいた。

いそいでドアを開けて、翔を入れる。





「翔!?ど…どうしたの?」

「今、仕事終わったんだ!愁がいるかなって、急いでココにきた!」





愁の車覚えててよかったぜ!といってニカッと笑う翔に私は顔があつくなった気がした。





とりあえず翔を家?まで送り届けた。
帰ろうとすると引きとめられて、少し話そうといわれた。





車をとめ、2人で夜の公園を歩く。







「翔、大丈夫なの?」

「ん?」

「アイドルが、こんな時間に、私なんかと2人きり…でさ?」





すると翔は少しだけ考えてから、
大丈夫だ って小さく笑って言った。




やっぱり、だめだよ。






「あのね、翔」

「どうした?」

「…もう会うのやめよう?」

「…なんで」





翔が声のトーンを少し下げたから、
ビクッとした。





「翔はアイドルでしょ?でも私はただのOLだよ?…一緒にいたら、迷惑かかっちゃうよ」

「…迷惑じゃねーよ」

「でも私達は」

「俺は…!お前が!」



「翔には幸せになってほしいの」



「…愁?」



「好きな人には、幸せになってほしいの。」





そこまで言うと涙が溢れてとまらなかった。


嫌だ、翔と会えないのは、嫌だ。





「…人の話、聞けよな。」

「…きゃっ」




少し低い翔の声が聞こえた、と思ったらぎゅうっと抱き締められた。





「俺はお前と…愁といるのが幸せだっての…」




翔の顔を見ると、いつにもなく真剣で、
でも少し赤くて、私もつられて赤くなった、




「えっと…え?」

「はは、ばーか。好きだって言ってんだよ!」





その言葉にやっぱり涙が出てきた。

私も好き。

そういう前にまた引き寄せられ、私達はキスをしていた。




背のび
いつのまにか、私が追いつこうと必死だった。












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