01 あの笑顔が消えない
「彼がバーボン。組織ではトップクラスの探り屋よ。」
「よろしくおねがいします」
「ベルモット・・・これはどういうことですか?」
組織の人間がよく出入りするバーで
ベルモットはこのバーボンという男に私を紹介した。
状況があまり読み込めていないらしく
彼は眉をしかめている。
「彼女、最近になってコードネームをもらえることになったの。
本当にもらえるかはこれからの実績しだいでね。
そこであなたにこの子の教育をさせろってラムからの指示よ。」
「ラムからの・・・」
「そ。じゃあよろしくね、バーボン。」
そういい私と彼を一瞥すると
ブロンドの髪をなびかせて出て行った。
「あの、バーボンさん。よろしくお願いします」
「はあ、君、名前は?」
「本名は愁です!コードネームはありません」
「本名、って・・・。まあいいや、早速いきましょうか。」
「はい!よろしくお願いします!先輩」
椅子から降り、二、三歩歩いた彼は
こちらに振り向き鋭い目つきで忠告してきた。
「あまり足を引っ張らないでくださいね。
仕事ができないとわかったら、即送り返しますよ。」
「はい、わかりました。」
私が目を見てはっきりと返事をすると
彼は先ほどまでの表情を崩し、
貼り付けたれたような笑顔で いきましょう と
私たちはバーを後にした
足を引っ張るな、か
「 ・・・どの口がいうのか」
「はい?」
「いえ!いきましょう先輩」
この男、バーボンはノックだと疑われている。
その真相を探るため、彼とは面識がない私が採用され
ラムの命令でベルモットを通じて彼の調査をすることになった。
組織の仕事なんか一通り覚えているのだが、
教育される役としては知らないフリをしなければいけない。
さきが思いやられるわ・・・
「先輩、最初は何をするんですか?」
「まずは情報を探りやすい一般人に紛れ込む。」
「と、いいますと?」
「僕と一緒にバイトしてもらうよ。」
「え?」
バイト・・・?
mae tugi
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