ジョ長 | ナノ


「すまない」
「仕方ないじゃない。カウンター自体プロシュートも得意そうじゃないし 」
「でも。」

でも、とかだって。なんて言ったら、プロシュートが珍しくマンモーニみたいじゃない。クスクス笑えばちょっと傷口に響いて痛い。

「私がしたい。って思ったから、体が動いた。それじゃあ駄目かしら?」

カウンター自体覚悟が居るなら、自身のダメージと相手の恐怖心との根比べよね。氷らせて砕くことも考えたけれど、無理よ。自分の腕も砕けたら嫌だしねぇ…。

「ペスカ」
「はいはいリーダー。それかダンス教えてよ、それでチャラ。ok?このまま寝るわ、お休み。」
「ペスカ。ありがとうな。」

プロシュートの話を半分にぶったぎり目を閉じればプロシュートそっと遠くに行った気配と足音がする。誰が行ったのかと気になってチラリと目を開ければ酔いつぶれたホルマジオとジロジロ見つめてくるメローネ。

「寝れない?」
「寝付きにくいわね。見られてるとねぇ、」
「子守歌でも居るなら歌うけど」
「男の歌声なんて興味ないわ」
「ハハッ、酷いね。看病したのになー。」

メローネの扱いぐらい雑にしないと疲れるわよ。なんて本音がポロリと出た。まぁいいや。と放置して、視線を潰れたホルマジオに向けていたら、声が振る。

「もしかして、俺特別?」
「…うん、特別(真逆の意味で)」
「ディモールト!子供は何人がいい?二人?三人?サッカーチーム?いやベースボール?」
「典型的な勘違いかよ」

目をキラキラ輝かして抱きつこうとする、やめろメローネ。調子に乗るなとひっぺがそうと動いて違和感に気付く。首に巻いていたスカーフがほろりと落ちた。

「ペスカの首の傷も凄かったからね。外させて貰ったよ。まるで、指を刺したみたいな傷跡だよね」

頭の中真っ白、あれ以来片割れにすら見せてなかった跡、ママが見るときっと卒倒するだろうから長年怪我しても外さなかったのに。返事の薄い私に気がついてメローネがひらひら手を翳す。

「ペスカ?首の傷痛む?」
「気持ち悪いからずっと隠してたの」
「綺麗だけどね」
「俺は好きだけどね。その傷も。」

それがあって、プロシュートを守れた運命に繋がってるんじゃない?。その傷がなかったら、もしかしてさっきので死んでたんじゃないかな?なんて言われて、ストンと落ちた。詰まっていた何かが崩れるように、染み込む。確かにそうだ。この傷が、この血があって、今を生きれたんだ。片割れが助けてくれて、今があるのだ。

「…そうだね。」

忘れてたわ。なんか。そうよね…この傷に助けられた事も何度だってあったのに、どうしてこんな簡単なことを忘れてたんだろう…。

「その傷があって、プロシュートを守って、帰ってきてくれて有難う。ファミッリア」
「…メローネの癖に、格好いいこと言いやがって」
「この傷の事は他のメンバーは知らないよ。僕しか血を拭ったり包帯を巻いたりしてないからね。にしてもペスカ超柔らかくて…!」

ベネ。なんていう前に足蹴にして黙らせる。コイツ空気読めよ。バカメローネ。でも、なんか、可笑しさが溢れてきた。

「はははは。有難うメローネ。」
「何が?」
「色々よ。気付かせてくれてありがとうね。メローネ」

なんでもないけど。ねるわ、お休み。と吐き捨ててソファで眠る。メローネが近くにいる気配を感じながら私は眠りに付くことにした。



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