スタンド使いとも財団の人間とも居るであろう片割れとも遭遇せず無事に指定された待ち合わせ場所にたどり着いた。テラス席で茶でも一杯。と考えてたが、待ち人は既に居てこちらに手を上げた。 「パッショーネの女と聞いてたが、ペスカだったとはな。」 「私もパッショーネの一員よ。入って間もないけど。ブチャラティ」 派遣の内容も何もかも派遣先で知らせる。だなんて、そんな急を要するの。と問い詰めれば、ブチャラティは考えるような素振りをして、とりあえずアジトに行こうと歩き出したのでその隣を歩く。 「ペスカ。」 「なに?」 すっと手を取られて、世間の所謂、指を絡める恋人繋ぎで。え。っと一瞬顔に出たが、何事も無かったかのように腕にもう片方の手でもブチャラティに触れる。イタリアーノの対策と仕返しはプロシュートで慣らされた。とは言え入団一週間とちょっとぐらいだが。彼も一瞬驚いて甘んじて受けた。 「アジトもすぐそこだ。」 「みんな元気?」 「ミスタ以外は出払っている。派遣が終わりぐらいに会えるんじゃないかな。」 なんて他愛ない会話を繰り返してたどり着いたのはバールの二階のアパート。うちのチームの特性とは違うらしく、ある一瞬会社のようなイメージが湧いた。うち5チームは逆恨みまであるから、みんなで肩を寄せて生きるチームだからこそか、少し違和感。 「ペスカ座ってくれ。今珈琲を入れるから、この資料に目を通しておいてくれ。」 手渡された資料を受け取りソファーに腰掛けて、資料を開く。どうやらこの地区で殺人事件が起きているらしい。その歴々を覗き見て、だから女の私なんだと把握出来た。 「…うわぁ…」 資料添えられた無惨な死体に、言葉も出なくなった。目に見えてスタンド能力と見える殺され方、刃物の痕跡はないのに臓物だけ出てしまっている。昔、クレーンに吊られた人いたわね…とかなり昔を思い出した。あの時も花京院が見なくていいと目をかくしてくれたな。とぼんやり思い浮かべた。 「ペスカ、必ずうちのメンバーで守る」 「大丈夫よ。守られるだけの女じゃないわ。」 見えるでしょう。ブチャラティ。と言えば私の傍らにうさぎが現れた。さほど驚かないのは、彼の周りにもかなりのスタンド能力を持つ人間が居るのだろう。やはり、イタリアに矢があるのは間違いない。いつか巡り会うだろうか。と考えがよぎる。 「ペースト、ホル・ホース、エンペラー。」 うさぎは拳銃に姿を変えて私の手の中に収まる。妙に居心地の悪い重たさはすぐに姿を変えて、消えた。 「弾丸の起動は自由自在。よ。」 「そうか。なら、万全な囮になれるな。」 「食いつかれる囮にはなれるわよ。」 差し出された珈琲は少し甘い。前に彼らの元で飲んだ一回まで覚えててくれて嬉しくて、ちょっと笑みがほころんだが、仕事仕事と意識を切り替えて、再び書類に目を通す。黒髪、女、そして彼氏持ち。いや、最後は関係ないか。そんな条件がちょうどある女の私。なんか、偶然にしたら無理矢理感も否めないが、起きている以上変えれないのだ。イルーゾォでもよか…いや、嘘です。考えたら気持ち悪…うぇっ… 「どうかしたのか?」 「写真がね…」 添えられた写真をそっと裏返しにして、読みかけに手をつけて、黙々と読む。犯行時間は夜の路上、この近くだったり、アジトから2つ筋向こうだとか、場所は色々。 「スタンド使いは引かれあう。ねぇ。」 そういう言葉を借りれば、なんだかその犯人と出会えそうな気がしてきた。 前 戻 次 ×
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