ジョ長 | ナノ



吉良事件からしばらく。
久々にかかってきた電話を取れば、懐かしき久々の声に繭尻を下げた。

「はいー。あー。なによー。生きてるの?って無きゃ枕元に立ったわね。・・・あ・・・こっちの話だから気にしないで。」

軽口をたたきあいながら、最近の近況を話し合ってから、電話口がまじめな口調に変わって、これが本件か。となんとなく話を聞く。ふんふん話を聞いていれば、電話の相手は何かを望んでいるようだ。
用件をせかすように「ふーん。で?」で、じゃなくてだな。と電話口でいいなおされたので、念を押しておく。私はスタンドがらみの仕事しかしないわよ。といえば、もちろん仕事だ。俺から。な?といわれたら、仕方ないので文句つけるように条件を吊り上げる。

「全部終わったら、あんたからもちょっと吸ってやるわよ。」

スタンド使いの血を吸ったら、もしかしたらちょっと呼び出したときの能力上がってたりするか気になるからね。とそっと言えば、げ。と電話口から聞こえる。ので、話を分奮起居てみたりして大体は納得できた。

「なぁ、いいわ。その代わり、いい日焼け止め頂戴よ。SPW特別製のね」
「よろしくたのんだぜ。」
「ふふ。おっけー。あぁ。そうだ。どんな手も使う予定だから、その手法聞いても私を嫌いにならないでよ?」
「あたりまえだっつうの。仲間。だろ。」
「へいへい。」

電話をむりくり落としてため息をついた。流れに流れてどうなったかなんて私は知らないけれど、なんか、イタリア方向に矢。があるらしい。何本あるんだよ。なんて思いつつ違う電話番号に電話をかけたが、留守電につながったので手短いに挨拶と、用件を詰め込む。

「もしもし。承くん?。仕事で杜王町から出てイタリアンマフィアとかギャングにならなきゃいけない用事ができたから、暫く家にいないわよ。それだけ。じゃ。」

ツーツーと聞こえる通話音をきっかけに、財布と通帳をかばんにしまって息を吐いて玄関に向かう。じゃあ、いってくるわね、と吐き出して。誰も居ない部屋に鍵をかけて、小さな叔父さんに家の鍵を預けるために私はまっすぐ最初の用事を片つけるために駆け足で走り出した。



来たのはいいけれど、太陽がつらい、むり。もう帰りたい。ホテルの手配も何もしてないわよ。ちょっとしたベたらいろいろボロが出てくる。なんか、いろいろやらなきゃいけなさそうな気がするじゃない。昔の杵柄というか、帰ったらパスポートもそろそろ更新しなきゃ。財団顔パスで飛行機も何でも手配してくれるだろうけれどサー。この体質実験体にちょこっとされるのは、なんともいえないね。

「つら。あーつら。つら。」

言ったところで、日陰のある路地裏に入る。8割女子高生1割老人1割吸血鬼の特殊な人生を歩く私には太陽は天敵だ。長時間浴びたら容態すらも悪くなる。誰だよ情熱の国とかいったの。もう、これ情熱よりも太陽の国だよ。なんて思いながら、太陽を恨めしげに睨み路地裏に休む。さっきのカフェでも良かったけれど、戻るぐらい気力が無い。と同時に鼻腔に微かに血のにおいが届く。やばいなーなんて思うと同時に来たチャンスに自分の唇がゆがむのがわかる。

「・・・誰か居るの・・・?」

判ってて聞いてる。せっこいやつ。だといってくれてもかまわない、えぇ、ほっとけ!あわてて脳内の設定を作り出し、あぁ、古い服でよかったと、本気で思った。

「ジャポーネ・・・か?」
「イギリスとのハーフよ。イギリスから逃げてきたの。言語はおじいちゃんがイタリアに昔に居たから。」
「ここらは危ない。」
「危なくても・・・行き場所がないのよ。」

家族が死んで。兄弟と離されて、特殊な体質故に売られそうだったから逃げてきたの。今更帰れない。表の世界に生きていると、連れ戻されちゃう。なんていい加えると、大変だったんだな。と頭をなでられる。荷物なしがこんなふうにむちゃくちゃな設定になるなんて。これは、あとでパスポート捨てなきゃ。マジシャンズレッドとかで、焼いてきれっぱし持っとかなきゃ。治せないわね。

「自分の身を守るためにも、日の当たる世界には行けない。」
「・・・そうか。ならば。」

うちの入団試験を受けてみるか。なんて言ってきた。見えない路地裏でようやく会話の相手の様子が見えるようになってきた。キラキラした目をした、青年男性だ。おかっぱって、日本の文化じゃなかったんだ。なんて思考を頭の隅に押し寄せて、暫く考える。全員の設定を書き換えればいいのか。そうだな。そうだわ。

「私、ペスカ。」
「俺は、ブチャラティ。」

きっと彼は無理だと思っている。だから、こう、簡単に入団試験だとか、言うんだろうな。なんて思いつつも、彼の後ろを歩く。あ、日焼け止め塗ってないかも。なんて思いながら、入団試験をスタンド能力で(どうやったか?ナイショだよ)サクッとパスして、私は、ギャングの門をたたく。え?もっと細かく離せ?無駄無駄。



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