ジョ短 | ナノ


満面の笑みのメローネが近寄ってるのは知ってる。やな予感。これだけだ。

「ペスカ、次、これ着てみない?」
「…」

差し出された服をチラリと私は見て、マジシャンズレッドを呼び出し燃やすついでに、殴っとく。鼻血を流しながら、ニヤニヤしてるコイツはDIO以上だと思うと同時にやはりキモい。

「ペスカ、アジト汚すなよ。」とホルマジオが冷やかしを投げるので流れ出た血液は勿論、クレイジーダイアモンドでメローネに返す。

「…散歩行ってくる。」

告げれば変な奴に浚われんなよ。と面々が告げるので、八つ当たりでギアッチョを蹴り、アジトを出た。その後をペスカが心配だから。とメローネがペスカの後を追って行った。

「悪かったわね。日本人だもん、仕方ないじゃないっ」

畜生。ギアッチョなら周りを蹴り飛ばしてるだろうに、石畳をたたきつけるようにペスカは歩いた。
昼下がり、人通りの微妙な道を歩き続け行く当てなくイライラしながら、罵声を零す。
ガツガツ歩いていたら、手を掴まれ、動きを征されペスカはその根元を見た、伊達男がペスカの手を掴んで笑っていた。
ちなみに喧嘩は片割れ直伝。じゃないとインドなんて連れてってくれない。

「何?痛い目、会いたい?」
「綺麗な目してるよね」
「あ゛?」

ガンつけて、腕をひねり上げても男は笑いっぱなしだ。ヤバいのキめてる。なんて判断した瞬間、体ごと腕を軸にペスカが周り、男の手から逃げる。ヤバい。メローネ風言うとディモールトヤバい。とかベリッシモヤバい。とか、馬鹿な事を考えながら、太陽煌めく街中で体調限界制限時間までマッハで駆け足でやってくる。
街中スタンド禁止令はつらい。スタンドさえあれば戦えるのに、私の特殊さ故に仕事場人の気配有る場所で禁止だなんて。

つらいつらいつらいつらい。と連呼しても体調は悪くなる一方で、吐き気もしてきた。明日は、なんだ、死亡日だ。リーダーに話しつけて休まなきゃ…。そろそろ灰になりそう。やばい、次の門曲がったらスタンド使って逃げてやる。
メタリカ対策はイギーだし、ギアッチョ対策にイエローテンペスト、ホルマジオに綺麗な女、あれ段々趣旨が違う。目的の門を曲がって真っ直ぐ行こうとした刹那、腕を引かれ路地裏に連れ込まれた。
もう私はパニックだ。
背後から手が回り、口と腹を抱く。見知らぬ奴にやられたら、知ってる奴がやったら半殺しだ半殺し。兎に角パニックだパニック。夢なら覚めろ今すぐに。さっさと、早く!その指噛みちぎってやらぁ。パッショーネの暗殺者、かっこしんいり、かっことじる。なめるなよ。
いざ行動を開始しようとした刹那、僕だから。ペスカ。と慌てたような声が耳元で囁く。その声を聞いて、はたり。と気がついて行動は指薄皮で止まった。背後で、微かに痛がった声はするが、すぐさま「静かに、」と言うから、背筋が伸びた。眼前の通りを、イかれた男が駆け抜けた。気配は段々遠くに行って、背後の気配は息を吐き出した。

「危なかったねペスカ」
「…メローネ…。」
「なんか、感じたがら来たけど、迷惑だった?」

首に掛かる自分以外の髪がくすぐったくて、ペスカは肩を下ろした。

「メローネ…限界。」
「体力?」
「じゃないほう」
「性欲?」
「太陽。」

リミットあと10分ぐらいで3日昏睡レベル。なんて告げれば、大丈夫かよ。アジトまでバイク飛ばすから、捕まっとけよ。と言うが、正直フラフラ。落とされないか、気力でカバーするしかなかったのだ。

ここからは後日談になるのだが。
帰宅途中にバイクから落とされて、街灯に頭をぶつけられ、体力は限界値を軽くぶっ飛んでたらしく、一週間生死をさまようような高熱を出して、リーダーの部屋に強制入院させられたのであった。暇で暇で仕方なく、血を吸うために仕事をしてるのだから、体力の戻りも嫌に遅い。

「ねーリーダー。仕事したい」
「報告書の為に、イタリア語書いていたらいいだろう。」
「飽きたわよ。」

三日前からやってるんだ。飽きるしつかれるわ。もう何書いていいかも見つからない。

「そういえばギアッチョにも聞いたけど、私、30手前だったらどうする?」
「どうもしない、な。そんな風に見えない。17、18ぐらいだろ?」

ゆるやかに年を取るこの体は東洋的な顔つきもあってそう見えるのだから、そう言われても仕方ない特異体質、後天的な。

「よねー嘘なんか通じないわー」

18のナリで50以上のスタンドと戦ってるのよ。不思議だと思わない?なんて話を振るのも面倒なので、リーダーのベッドを借りて、昼寝をするためにシーツをかぶりなおす、あー血吸いたい。


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