タイミングに合わせて、肘鉄野郎は走り出した。ムカついてたのか無精髭のテロリストを踏んで。威勢いいなぁ。じゃなくて。目の能力で見た未来と繋がった、彼が走り出したから撃たれるんだと無意識に答えにたどり着いた。 理論なんて並べなくても、答えは一見であり重なるのだ、景色が。 そこから行動は早かった。 あとでキドからセトからお説教ルートだろうが、んなもんは知ったこっちゃない。バッと飛び出し、キド達をすり抜け肘鉄野郎に突き飛ばす。そんなと同時に襲ってくるのは足の痛みと銃声。 人質達が悲鳴をあげる中、シャッターの上がる音が聞こえた。私の役割はここで一旦終わりだな。と肩を下ろす。 背中を押した肘鉄野郎は、打ち所が悪かったかして気絶してる。能力を解いて、ふと視線を下げればカノが横に立って肘鉄野郎の様子を見てる 「カノ」 「ムツ」 あーだから。キサラギちゃんのお兄さんが変にぶっ飛んだんだ。と妙な納得をしてカノはフンフン頷いた。なにを理解してるのだろうと考えたが、欺こうとしてるカノの表情は全て筒抜けであって、意味を持たない。 「カノさん、お兄ちゃんは!?。」 「残念だけど…って、ムツ」 「なんとか避けさせた。ただ突き飛ばしたから打ち所が悪かったかして気を失ってる」 「あ、ムツさん」 …あ、れ?今、お兄ちゃん。って言わなかったか?肘鉄と新入りが兄弟だと。 「ムツ」 警官隊が入り乱れる足音をBGMにして、足の痛みと赤い目にむかせないように自分の力をこっそり使う。セトに情報が行きませんように。とただただ望むのであった。 「話は終わってないぞムツ」 「セトのアレ今日する日なんだから、説教はその時。ほら帰ろうキド」 はぁー終わった。と肩をぐるぐる回して、一息つく。物事は一見簡単に終わるかと思ってたが、予想斜め上を滑る。事実はあってほしくはないが奇抜であった。 「「うわあああああああ!!」」 キドと新入りちゃんの声を聞いて視線を向ければ、警官隊の一人にマリーが質問責めにしていた。カノはゲラゲラ笑っていてキドに床に沈められてる。 「あーこれはなにも出来なくないか…」 失笑。まさに現状。踏みたくない韻だって踏みたくなる。マリーの周りに警官隊が集まり泣き出しそうなマリーがこちらを指さしている。 前 戻る 次 ×
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