ルドルフ | ナノ



一つ、また一つ。丁寧に敵を撃ち落とし、サメラは鳥の羽を切り落とした。浮力をなくした鳥を踏みしめ地上に向けて蹴り推進力を得る。
上に上に上がろうとしたら遠慮なく爆撃が降り、サメラは上がりもせず下がり燃せ素、丁寧に飛ぶ魔物の息を止めていた。終わりはないが、空を翔るにも疲れが浮かぶ。

「…危ないか…」

乗っていた魔物を切り捨ててサメラは自由降下の感覚が襲った。地上は遙か下に見受けられる。安っぽいダガーを取り出してサメラが取りこぼした魔物を足場にして、息の根を止めながら地上に向かう。セシル達は苦戦してる様で、門前で奮闘する様子が伺えた。

チマチマ降りるのにまどろっこしく感じて、すれ違い様に魔物に刃を立てスピードを落としながらサメラは堀に進路を決めて落ちた。

ど派手な水柱を上げて、炎を纏う火薬に水がついて、火の手は瞬く間に勢いが無くなった。何事だと声も水の中までは届かない。
背中の大刀の重さで溺れかけながらサメラは堀から這い出たら、ギルバートが駆け寄った。

「大丈夫?サメラ」
「着水の衝撃が酷かったが、まだ戦える」
「無理しないでね。ここももう危ない。」

セシル!サメラが帰ってきたから退こう!と声を放てば、聞こえたらしく、解った。と返事が帰ってきて、ゆっくり後退しながら城の方に向かっていた。
にらみ合いをしながら寄る魔物を諌め歩いたが、ヤンの背後に魔物が爪を上げた。走り殴るよりも腰の武器に手をかけた。

「ヤン、しゃがめ!」

怒鳴り声をあげてサメラはボウガンを引いた。矢は勢いよく空を切り裂き獣型の魔物の喉笛を射る。

「大丈夫か?」
「ありがとう、サメラ殿」
「気にするな。下がろう。」

先に行け。とヤンに背中を向けながら、サメラジリジリ魔物とにらみ合いをしながら城に入った。
空遠くに浮かぶ人の夢を乗せた船を睨むように見つめて、ファブールの門戸は堅く閉ざした。尽きない魔物に、暗い雰囲気、傷ついた暗い顔をした僧の顔を見て、サメラは大きく息を吸い込んで、叫んだ

「戦いはまだ終わらない、今の間に回復だ。怪我した者は居ないか!」

戦場に、響くサメラ5声で、負傷した僧の口が堅く引き締められたのを見て、サメラは人知れず息をついたのであった。




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