ルドルフ | ナノ


サメラとセシルの28周年へのお題は『せめて、隣に立つことだけは』です。
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バロン国王の執務室でセシルの執務の見張り役。として最近サメラが据えられたのは、おそらくサメラが先の対戦の英雄の一人だということが感づかれているからなのだろうか、はたまたサメラがやっかみを受けてるのをセシルが救ったからなのか、はたまた入隊時の腕っぷしの強さによるものなのかは、わからないが周りを変えていったのだろう。血縁が重要視されていたバロンの軍隊事情に大きな穴を開けたのは、間違いない。

「ねえサメラ。この書類。」
「セシル。まださっきから書類のサインが進んでないんだが?」
「だって、治水工事なんて」
「セシル?」

あ、怒っている。なんて言わずともわかった。これが双子という独特のシンパシーなのだろうかとセシルは考える。

「サメラって休んでるの?」
「セシルが働いたら休めるが?」

逆に返せば、セシルが働かない限り休みではないと言いきられた。続いて、休みは?睡眠時間は?などと問いかけても、セシルが逃げれば呼び出され、姿を消せば捜索にかり出される。そんな返事を聞いて、反応できないセシルは苦笑いを浮かべるしかない。

「お前が健全に働けば私だってきちんとした休みが手に入るんだが?」
「それはごめんって、はい書類サイン終わったよ。」

サメラに書類を渡すと、サメラはパラパラと見てから満足そうに別の棚にしまいこむ。

「こうやって見ると僕の秘書だね」
「お前の秘書なんてお断りだ。」
「前の対戦では横に立ってたのに」
「ゴルベーザに一矢報いたかっただけだしな。」

よそ回りするよりも、お前たちと一緒に行ったほうが早いと思っていたんだが、まぁ。よくもあれだ。ダムシアンの王子やエブラーナ王の子、ミストで生き残った召喚士、ファブールの次期国王やバロンの王だとか、どうしてそうハイソサエティの人間ばかりが集まってるんだか。
ギルバートが自分を名乗りだしたあの時の衝撃は忘れられそうにない。そうつぶやくと気にしすぎだよ。たまたまだよ。なんてセシルが笑うけれども。この間の大戦だってそうだろう。そう言い返すとすぐにセシルは黙る。どうやら思い当たる節はあったのだろう。

「でも、サメラだって立役者なわけなんだし。」
「学のない旅芸人だけれどもな。」

それでもあきらめなかったでしょう?一緒に並ぶことは難しいのかもしれないけどさ。せめて戦闘の時ぐらいは隣に立ってよ。とセシルは言う。いままでもこれからも変わらない立ち位置なのに、何を言うのか。あきれを覚えつつサメラは応。と答えるだけにした。








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