弟大好きとホワイトデー三毛縞が欲しい人が組んだ結果。 






人目のつきやすそうな庭園でひなたぼっこをしてると、睡魔がやってくる。それにしたがってうつらうつらしていると、肩を叩かれた。

「央さん、こんなところでお昼寝かあ?」

眠い目をこすりながら相手を確認すると、三毛縞くんがそこにいました。どうやら散歩していたようで、ぼくに声をかけてきた模様。ぼくの隣を叩くと、三毛縞くんは僕の隣に腰を下ろしました。

「お昼寝、なんですかね。日光浴、って家系的に得意じゃないんですけど、おひさま浴びるの好きなんです」
「日光浴は体にいいからなあ」
「……その分、弟たちは日光に弱いんですけどね。」

ぼくが昼の世界をとっちゃったのかもしれません。双子なんて、優劣がついて産まれるなんて言う話ですし。ぼくが奪ってしまったのかと思うと、ぼくはぼくを許せなくなってしまいます。自由に飛ぶ弟たちに鎖を作ってしまうのがぼくだったのなら。自らその鎖を壊してしまわなければいけません。

「央さん、そういう考えはよくないぞお。何より零さんたちがそうは許さないはずだ。」
「零たちはぼくをことのほか大事にしてくれているのはよくわかりますよ。でも」

――ぼくが、彼らの障害物としてなりうるならば。
そこまで言おうとして、言葉は止められた。三毛縞くんの長い指が僕の唇の上に置かれた。何も言うな、ともとれるその行為に、ぼくは目線を反らした。

「それ以上先は言ってはいけないぞ。それはいくら兄弟間の話だろうけれどもだ。」
「まさか三毛縞くんに説教をされるとは。」
「説教でもないんだがなあ。一般常識を説くだけなんだが」
「弟のことになるとぼくは弱くなりますね。」
「それは、兄と言う生き物なんだなあ。」
「そういう仕組みを作られてるんでしょうね。」

お行儀が悪いのですが、ベンチの上で膝を抱える。兄として生まれたからと、組み込まれた使命なんだろうかとぼくはなんとなく納得して胸の中に収める。みかにも人形遣いにも零しにくい弟の話を誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない、
こういうのを零すのは、多分零にも話が行きそうな気がするからこそ、うかつに言えないのだが、今どうして口が滑ったのだろうか。ちょっとだけ思考を巡らせて原因に行き着いた。これは、と思う前に、ぼくは持っている力を振り絞って口を開く。

「……三毛縞くん。申し訳ないんですけど……」
「どうしたんだあ?一体、神妙そうな顔をして。」
「日光浴しすぎて具合が悪いので、あとの事頼みました。」
「うん?どういうことだ?」
「弟たちが川の向こうで、タップダンスを踊ってるんで、そっちにいってきますね」
「それは重症だ。」

この場合誰を呼ぶのが良いんだ?と問われたけど、ぼくには応える余力は残ってなく、この場であえなく気絶した。なお、この件は光の速さで零や凛月に知れ渡り、ぼくの日光浴は一人でやらないと硬く説教されたのであった。いや、今回も一人じゃなかったんですよ。隣に三毛縞くんがいたんですよ。それでも、聞いてくれないうちの弟はなかなか過保護ですね。



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