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ランダムで選ばれた二人とうちの子一人の小話。演奏家=央編。(全部で五人分)


渉と宙。

ぼくが3Bの教室で楽譜を開いていると、ぼくの楽譜の上に手が二つおかれたので、そっと視線をあげると逆先くんのところの子が一人。ぼくをみてにっこり笑った。

「央に〜さん。宙に、音楽を教えてください!」
「……ぼくはどういう顔をするといいんでしょうか?」
「おやぁ宙くん、思ったよりも早かったですね。」
「日々樹くんもですか、珍しい二人ですね。」

今度のショーを私が助手をすることになったんです。なので、それに似合う音楽を探しに晦くんに依頼しに来ました。と二人は言うので、ぼくは演奏家であって作曲家でないので、専門の方をお呼びください。と丁重にご遠慮しましたが、「宗に〜さんが、央に〜さんに依頼するといいって言ってました。」なんて満面の笑みで言われました。はい、日々樹くんも習って、満面の笑顔が二つ。顔は似せなくていいですよ。日々樹くん。

「ちょっと、隣クラスに殴り込みする用事が出来てしまったので、すこし待ってもらっていいですか?」
「隣クラスに行くのに、分厚い鈍器のような辞書は要りませんよ?」
「血祭りにあげるだけなので、大丈夫ですよ。えぇ。」

人に口外するなとよく念を押すのですけども、あの人形遣いは脳をどこかに置いてきたのでしょうか。ほんと腹立たしいですよね。親も親なら子も。ですね。まあ意味は多少異なりますが。

「央に〜さん忙しいのなら、宙たちはなんとかするんです。」
「忙しくはありませんし、今回は受けようと思いますが、次はないですからね。」

そういうと、逆先くんの子は嬉しそうに手を上げて喜び、隣の日々樹くんはすこし考えてから、ぼくに耳打ちを一つ。人形遣いは縛り上げて手芸室に転がしているので、そちらに行くといいですよ。と言ってくれましたので、ぼくはゆるく頷いてから、教室を飛び出しました。



零と千秋。

「晦!!元気に挨拶だ。」
「元気。という単語が一番僕と縁がないのでお断りします。守沢くん。」
「具合が悪いのか?なら、俺が保健室まで運ぶぞ!」
「遠慮します。」

いきなりぼくの席に来たと思えば。一瞬目があったから来たからと、あこぎじゃないやりかたにぼくは頭痛を覚えました。それも彼なりのやりかたなのでしょうと思い込むことにしたいのですが、現実そうはできませんよね。知ってます。解決しない問題にどうするかと頭を捻っていると「おや、珍しいふたりじゃのう。」なんてこちらをにニヤニヤしながら見てるので、ぼくはそっと守沢くんの標的を朔間さんを巻き込むことに決めました。親族に見られたら大目玉なんでしょうけれど、幸いなことにここに親族がいない。むしろ正式に言うとぼくは彼の身内なわけなんですが、それは置いておきましょう。

「守沢くん。朔間さんはあんまり元気じゃなさそうですよ?朝ですし?」
「そうだな!じゃあ二人を抱っこして保健室に連れて行こう!」
「はい?ぼくはいりませんよ、ある程度限界は解っているので。」
「晦も真っ青な顔してるじゃないか!」
「朝ですし。」
「そうじゃぞい。我輩たち吸血鬼じゃから、太陽には弱いんじゃよ。」

それは大変だ!と守沢くんは声を上げて、ぼくと朔間さんを小脇に抱えて運ばれました。スカートの中見える!って声を荒げると、そうだな!でもお前は男だろう!と一蹴されました。そうじゃない!とりあえずあとでこっそり守沢くんの足をピンヒールで踏んでやると心に決めると朔間さんがビビられました。…何で朔間さんがびびってるのかはぼくにはよくわかりません。タマ蹴るわけじゃないんですから。ねぇ?




弓弦と彰臣。

今度のライブの楽譜を椚先生に返却のために来ていると、生徒会の雑務で来ていると思われる伏見くんと椚先生が会話をされていました。

「晦くんですか?」
「こんにちわ。ライブの楽譜を返却に来ました。」
「あぁ。そういえば、晦様」

思い出したように、伏見くんはぼくに声をかける。今度のライブの資料が出来上がっているので、楽譜を取りに来てください。と言ってくれた。生徒会からの仕事は金払いがいいのでぼくにとってはいい取引相手ですからね。ぼくは、わかりました。今生徒会室に誰かいるか?と問いかければ、誰もいないので、わたくしが渡しましょう。椚先生と話もあらかた終わっていますので、ご一緒にいかがでしょうか?なんて同意を求められた。まぁ。ぼくは誰が横に居ても何も思うことはないので、肯定しつつ椚先生に楽譜の礼を言えば、きみも仕事のし過ぎは駄目ですよ。と釘を刺された。少し前に調整役の子が倒れたばかりだから、そう気を張るのはとてもよく解るので、ぼくは曖昧に笑ってながそうとおもったら、伏見くんが、その顔は坊ちゃまと一緒で理解したくないと語ってますね。と図星を付かれて、ぼくは椚先生に多少雷を落とされました。ぼくは、常に体調が悪いのを知られているので、加減はしてくださいね。と睨まれました。

「まぁ、今も具合が悪いんですけどね。」
「晦くん。」
「倒れない程度にはやるので大丈夫ですよ。」
「倒れられるとこちらにも迷惑がかかるので、おやめくださいね。」
「わかっていますよ。」

昔から比較的トライアンドエラーのぼくですから、ある程度人命の加減をしっているので問題ないんですけどね。えぇ。まぁ、朔間さんたちが心配するので最近はほどほどにカフェインばかりですけど。






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