演舞 天の川にかける思い 2 






ぼくらが袖に引っ込んで、すぐに皇帝様はやってきた。だれかが口火を切るかと思ってましたが、誰も開かないので、皇帝がじれたように声を上げた。けれども、人形遣いも話す気はないようだ。むしろ、ぼくが引き上げたのだから。と目線が訴えている。

「元来、ぼくが招き入れたのですから。受け答えは僕がするべきなんでしょうね。御用だけおいて、お帰りくださいな。」
「しかし、まぁ落ちぶれたものだね。『Valkyrie』も。夢ノ咲学院の帝王と女帝だなんて言われたのも、今は昔。こんな墓穴のような暗がりに押し込められてしまって、かわいそうに。」

その語尾がひどく上がっていることに嫌悪感を示せば、この皇帝はつけあがるだろうでしょうから、ぼくは黙って話の筋を変えようとぼくは目の前の天祥院にため息をついた。はやく話せと促せば、急ぎはよくないと言い出した。

「もったいぶって言うのは、千金には値しませんよ。」
「言わせてもらうよ。厚顔無恥だけれど。僕は夢ノ咲学院の生徒会長、すべてのアイドルを統括する立場だからね。」

やる気のない『ユニット』には、お小言ぐらい述べる。そう言いだして、彼は言葉を連ねる。『Valkyrie』を解散させてはどうか。そう言われて、みかは火が付いたように怒り出したのでなだめる。人形遣いは、なずながいなくなってから、解散してもいいだとか言い出して、ちらりと二人を見る。ぼくは昔一人でやっていたこともあるので、そこについては問題はないけれども。
長いこと一緒にいる気もするので、何とも言えないですねぇ。

「ドリフェスに参加しないと、解散だなんて。安直な図式ですねえ。そうしか考えられないんでしょうかね。ぼくたちを引き出す魂胆なんですかね?」
「そんなに僕たちが怖いかね。天祥院?」
「二人して強がるねぇ。誇大妄想は滑稽なだけだよ?」

にっこりと笑う皇帝とぼくの間で静かな火が起きたような気がしたと、みかが後で語っていました。こういう計略は比較的得意なほうなんですよね。朔間さんで慣れてるので。いいんですけど、違う。そうじゃないんですよ。

「あんまり響いてないみたいだね。攻め方を変えようか。ねえ##name_2##くん、斎宮くん、『Ra*bits』を知っているね?そう、君の大事にしている仁兎くんが所属している『ユニット』だよ。生まれたばかりの、小さくて愛らしい子供たちの寄り合い場所だ。吹けば、飛ぶようなね。」

ぼくたちの過去から引っ張り出して、被爆させてつぶすことも可能だよ。と彼は言う。なずなはいろいろと兼任だとかの問題があってつつかれれば、ただで終われないという。….つまり、なずなが人質だという口ぶりではないですか。

「皇帝様は、なにを言われてるんでしょうかね。」
「仁兎を人質にするつもりかね。あれはもう僕とは関係がないのだよ、創造主への恩義を忘れて、言いつけを破って知恵の実を齧った……。裏切り者の罪人を、僕が庇護してやるとでも?」
「未練たらたらのくせに、ちなみに彼らは近日中に予定されている【七夕祭】に
かなり気合を入れているようだね、過去を振り切り、未来へ向かって躍進したみたいだ。」
「へぇ、ぼくらはそれに出ろ。ということですかね。皇帝様。」

大舞台で失敗させようという魂胆のとれる発言を、聞いて穏やかではない言葉しか言わない。これがいい話だというのだから、皇帝様はどうしたいんでしょうかね。悪い話はこれよりも悪いものなのだから、胸糞悪いんでしょうね。

「おめでとう!パーティを開催しよう。うさぎの肉で、ミートパイをつくって、みんなに振る舞おう!『Valkyrie』でなくなる君は、それを遠くからみていればいい!」
「へぇ……それはひどく楽しそうですね。ぼくらは指をくわえてみていろと?今や『一隠』のぼくが、何もできない舞台なんてありましたかね?」

そちらが一大巨頭ならば、こちらはそれにも台頭できる戦力をも持ってるぞ。なんて暗に、ほのめかす。ほぼほぼどこのユニットの音はだいたいぼくの音であり、金額を上げるもさげるもぼくのさじ加減一つだ。しいて言うならば、困難になるのは生徒会側ではないでしょうかね。

「無論、斎宮くん以外で『Valkyrie』として舞台に立ってくれてもいいんだよ?それだけでもある程度、現在の『Valkyrie』の実情は推し量れる。」
「好き勝手のたうちまうすねぇ。そんなに僕たちを引き出したいのですか?一度は討伐して、まだ飽きないのですか。その顔についた視覚は、かなり盲点が大きいようで。出ていった者は、戦士でなく選別して救う対象じゃないんですよね。」

ただただ耳に障る音が大きいので、最低限ぼくは出ますよ。うるさい害虫は両手で潰さねばなりませんからね。
朔間さん譲り、ではないですけど。あちらが持つスキルは勿論ぼくにも使えますから、緩やかに微笑んであつ圧をかけれど皇帝様は笑っている。

「今日はどうも手札を隠されてしまっあからね、まだまだ材料不足という感じだけれど。君たちをきちんと料理して味わいたいのに。斎宮くんは何だかんだ言ってお優しいからね。一人でも舞台に立てば救出するために必ず姿を見せてくれるはずだし」

その計算はおおよそ間違いですけどね。皇帝様。
それを吐き出さず、笑って澄ましてるとみかに火がついてしまったようで、皇帝と距離をつめて、胸ぐらを掴み出したのでぼくはその手を止めるために声をかける。

「あんた、おれが殴れへんと思ってんのか?」
「やめろ。影片」
「みかを止めてもぼくが殴りますけどね。」
「お前もだ小鳥。」
「まぁ精神的な方を殴るので、問題は有りませんよ」
「小鳥」

たしなめられたので、ぼくはとりあえず皇帝を掴んでいたみかの手だけをほどいて下におろした。人形遣いがどう動くか見ていたら、動向を考えさせてほしい。とだけ返事をすれば皇帝様は満足したように納得して帰ったので、ぼくは遠慮なく塩を撒いた。片付けはぼくだけども。塩を片付けるのは少し悲しかったです。はい。



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