ぼくと生け贄◆不死者たちの復活祭 1 





…実に困ったことになりましたね。家からの指示で情報を持ってこい。というので、なんともやりにくい。ざっくばらん形式自由フォーメーションなしで、フリーダム。もうすぐアレをやるべき時期なんですけれども、おそらくそっち方面の方が欲しいんでしょうねぇ。さて、どうしましょうかねぇ。頭を抱えるしかない現状にぼくは頭痛がしてきますね。そもそもの原因として朔間さんが情報を落とさないからなんですけど。一番情報現に近いうちがやっかみをうけるんですよねぇ。まぁのらりくらりとかわしますけど…。

「っていうわけで、朔間さん。情報をください。じゃないとうちの年寄りたちが言う事を聞いてくれないんですよ。」

まったく、どういうわけだか…。呆れたような口調で朔間さんはぼくを見る。少し眠たげ気配を醸し出しつつ、朔間さんは考えているが、ぼくはそこから必要な情報だけを出していく。まぁ、聞かせれないのは##name_2##の家の事情なので、ほぼほぼそれだから言えるわけないんですけどね。

「まぁぼくにもいろいろ込み入った事情があるんですよ。」
「大体想像がつくがのう。」
「いっそのこと、なにか復活祭の構想でもあるライブのときに、合わせて行いますか?」

そう投げかけると、う〜ん。と頭を抱えだしたので、まぁ、先に選別していただくのが先ですけども。薫くんかのう。と言うので、また御身内で済ませるのですね。いいですけど、十二分な了承だけは取っておいてくださいね。

「儀式の確認役としてぼくが駆り出されてるので、ある程度融通は利きますけど、痺れを切らした人ほど何をするかわかりませんから、ちゃんと実行はしてくださいね。」
「諦めてはくれんかの?」
「替え玉なんて効くわけないでしょうに。」

似た顔をしても、持っているものは違うんですよ。と遠まわしにできませんと伝えると、朔間さんは深く悩まれたので、ぼくはとりあえず人と日程さえ決まれば後は支援しますから、やってください。そう遠まわしに促していると朔間さんは鈍い反応しかされない。まぁ、昼間ですし、眠たいんでしょうね。直近の約束だけを取り交わして、ぼくは軽音部部室を出る。最低限の仕事はしますよ、けれども最上級の仕事もしません。やればやるほど、次のノルマを超えるのは大変ですからね。コレがぼくなりの晦家のノルマ達成術です。部室から出て扉を閉める直前に呼ばれるので、そちらに顔を向ける。と何か言いたげだったので、追加でぼくは足しておく。

「そうでした、できれば派手に。というのが、親族の総意らしいので別の『ユニット』も呼ぶといいかもしれませんね。まぁ、吸血鬼が派手に。というのはいささか可笑しい気はしますけれど。」

困った表情を浮かべてると、朔間さんは泣く素振りをするが、残念ながらそこにぼくは答える必要はない。だってあれ、嘘泣きですものね。知ってますよ。何年の付き合いだと思ってるんですか。…生まれてからですよ。生まれてからの付き合いですからね。同じ腹の親から生まれて…そして離されましたが。

「およよ。晦くんは老体を労わろうという気持ちが…」
「残念なことに、ぼくと朔間さんは同い年の親せきですよ。」

……留年する所までになくていいとこまで、似てしまった双子ですけどね。そんな皮肉にも似た一言が喉に張り付いてそこで止まった。止まってよかった。また日を改めて返事を伺いに来ますから、それまでに人と日程を決めてくださいね。それさえ聞けたらある程度親族も満足するので早い目に。そういって、ぼくは扉を閉めた。さて、今日も今日とて、誰もいない手芸部で一旦寝ましょうかね。
朔間さんから連絡が来たのは二日後、供物は羽風くんだという…ちょっと胡散臭い気はしますがまぁ、そこはぼくの手腕ですね。頑張りますよ。



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