省エネ野郎と三毛縞が欲しい人が組んだ結果。





大学に向かうために、荷物を持って寮を出ると三毛縞と同じタイミングだったようだ。ばったり会った俺たちは、お互い一度止まっておはようと声を掛け合ってから歩き出す。

「有さん、おはよう!今日もいい天気だなあ」
「三毛縞、うるさい。」
「朝から元気がないぞ!お腹から大きな声でママにご挨拶だ!」
「昨日、同室のやつと膝突き詰めてレポートやって徹夜明けなんだよ。」
「学生らしいなあ!実に青春だと思える光景だな」

何で俺、こうしてアイドルしてるんだろうかと、がっくり首を垂れる。その膝詰めて同じ作業をした相手は、今頃ベッドで寝ているのかと思うと実に腹立たしい。なんでこうも世の中はうまいこと回ってないのかと恨みつらみを言いたくなる。

「何で俺だけ講義があるんだか。」
「それが学生の本分だろう?」
「いや、そうだけどさ。なんかこう、もっと学生然とした。翠が嫌がりそうな。って俺も嫌だな。」

全員が全員、千秋のようなのとか無理。やってられない。付き合ってたくない。そんな評価を下してたら、三毛縞は笑う。うるせえ、お前は笑ってるな。お前も千秋カウントだっての。
でも同じユニットでやってるんだから面白い話だと三毛縞がいうが、俺が止めなきゃ流星隊はもうすでに崩壊してるんじゃねえかって錯覚するからこそ、残り続けてる。いや、多分居なくてもうまいこと言ってるとは思うんだけど。

「あんまりいいことを考えてなさそうな顔だなあ?」
「人の思考読んでるみたいな言い方やめろ。まぁ、いいことかと言われたら全然いい事じゃないな」

俺がいない世界について思考を巡らせた、俺が逃げ続けていた世界が続いてるならなんてな。そんなことを伝えると三毛縞は目を丸くしてこちらを見ていた。

「なんか、居なくても旨い事行くんじゃないかな。ってよく思うよ。」
「そんなに後ろ暗くなるな、いっそ千秋さんと有さんで足して二で割ると丁度いい感じに」

なるかっての。俺の遺伝子が全員に均等に割り振られても困るだろうし、たられば。なんて考えても無駄だ。
学校面倒だな、なんてこぼしながら話題を変えてみることにした。

「そういえば、三毛縞お前は仕事?」
「今日は早朝ロケだなあ」
「……早朝?」

今10時だぞ?と俺の腕時計を見せたら、俺の時計が壊れてることが判明してショックを受ける。もういい、二度寝だ二度寝。知らん俺の貴重な睡眠時間を返せ。いや、これは三毛縞に怒っても仕方ない。朝から元気に花丸を上げよう。とか言われたけど、お前は俺の親じゃないし、断る。

「俺の仕事を見て行かないか?」
「お前の仕事に興味はない。」
「有さんは相変わらずだなあ。もっとエネルギーにあふれた方が良いぞお?」
「これ以上熱血タイプ集めても何にもならねえよ。」

捩じれの位置で静かに動いてる方が丁度良いんだよ。と言ってやるとその方が俺らしいと三毛縞が歯を見せたけど、お前に褒められてもうれしかねえよ。俺は帰って寝るんだよ。帰らせろ、と寮の方に踵を向けたんだけど、三毛縞に連行されて結局講義も受けれずレポートだけが増えていた。おい、三毛縞。だから俺を巻き込むな。もう流星隊ヤダ。なにもうこのへんちき集団。流星隊やだ、もうアタマオカシイ。



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