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試験を無理やり終わらせて、そのまま学校に走って最終レッスンを終わらせた。この話はいつかおいおいね。明日にはある程度結果でてるので、俺はそこまで生きた心地してないんだけどさぁ。そんな中でもチョコレートの準備を行った俺をほめてほしい。誰か。ってこの事情知ってるの、千秋と奏汰ぐらいなだけで。もう!!ってなるわ。でもまぁ、試験が終わって解放感を感じながら、そのまま【ショコラフェス】当日を迎える。午後からの出番なので、俺たちは一旦AV室に集まる。どうも、防音練習室で待機してたらいっぱいいっぱいになってしまうからとの判断らしい。鉄虎は、精密機械とかあるし俺たちパフォーマンス激しいから壊したら弁償だし。だと主張するが。残念ながら『Knights』のセナスタジオのようなモノだろうと俺は考える。月永がセナスタジオセナスタジオ!って結構うるさいので覚えた。どうせたまり場のようにして特撮DVD見てたりするんだしいいんでね?

「練習はしないぞ。AV室にしたのは、最近ここが流星隊のたまり場になっているからだ。事前の予想通り、【ショコラフェス】には夢ノ咲学院のほとんどの『ユニット』が参加している。アイドルのチョコ目当てのお客さんもかなりの数で、現時点ですでにチョコが足りなくなっているらしい。」
「え?足りないって、どうするんですか?」
「生徒会の方で急いで業者に連絡してチョコを作ってもらってるらしいぞ。」

それでも手作りチョコ目当てが多いだろうし、奪い合いを回避するためだろうか。と思考はする。生徒会がごたついてるのは見て来たし、どうせアンコール予想まで行ってなさそうだからだよなぁ、風にのって流れてくる声も、かなり前のだ。

「有!そういうわけだで、時間があるので俺たちもバレンタインを祝おう!」
「……昨日試験だった俺にそれ言うの?」

あ。って言う顔したな?お前。俺が試験だとわかってていってんのか!このやろう!襟元揺すってやればあれは笑っていた。どついたろうか、って思ったけど、完全に明星と同じノリでいるのに気づいて辞めて、ホールドを離す。はぁい、『よいこ』のみんなに『ぷれぜんと』をあげますね〜。
なりにもどうぞ。と俺にも小さな小包を渡してくれたが…ユーグレナとかもう入れてないよな。前科者。俺は奏汰と小包とを目線を入れ替わり交互に見る。

「『おかし』づくりが『とくい』なそうまに、てつだってもらいました〜」
「なら、平気かな。神崎なら安心だって。」
「ちゃんと『なかみ』も『ちょこ』なのであんしんしてくださいね」

なら家帰ったら食おうと決めて持ってきた鞄のなかに入れて携帯を触ってると家から連絡が来た…まって、色々。とりあえず帰ったら開けるそう連絡入れて携帯を鞄に仕舞う。こっわ。受かってないとヤバいやつ。

「一之瀬殿……?」
「ん?どしたの?」
「拙者もバレンタインの贈り物を用意したでござるよ。」
「お、おん?ちょっとまってなー。」

鞄の底に、昨日家帰って慌てて作ったチョコレートのお菓子が…あったあった。ホットケーキの液を丸めて揚げて、チョコレートぶっかけたやつ。身内だけだったのと面倒だったからという理由で弁当箱にぶっこんだやつだけどさ。

「ん、ほい、忍。お返し。」
「一之瀬殿の手作り…?」
「そ、返礼祭時期はバタバタしてるだろうし。俺はたぶん忙しくなってると思うしな。」

ほれほれ、みんなもくえ。と弁当箱を差し出すと、みんなが俺のところに寄ってきた。鉄虎怪しいと言わんばかりだが、おいこら。俺の自活能力を舐めんなっての。食う?って進めたら、迷わずとるあたりほんと千秋の子って感じがするよな。人を疑わないっていうか、信じすぎるというか。……言うのもやめるけどさ。

「これ、何ッスか?」
「んっと、ホットケーキちっちゃいの揚げて、チョコレートかけ。」
「これ、俺からッス!そんなおいしくないかもしれないっすけど…」
「大丈夫大丈夫。気持ちが入ってるなら何でも旨いの。」

…なり先輩が、イケメンだって俺改めて思いました。って言いながら渡されたのはコンビニに売ってるようなチョコレート。ごめんな。それは気持入れにくいわな。でも、大丈夫、安全性は保障されてる。…なんでも言い回しだよな、小論文で学んだ。ま、お前が作るときがあるなら、俺呼べばいいよ。千秋でも奏汰でもなく俺な?…食わせる子に胃薬やるようなのはやめてやってくれ。頼むからな?ってちょっと食い気味で迫ると、鉄虎は首を縦に振っていた。蔑ろにするつもりはないんだけど、でもさ。食べて食中毒とか駄目だろ?なぁ?

「チョコと一緒に手書きのメッセージカード入ってるんで!」
「……そういうところは、鬼龍の子でもあるよなぁ。」
「忍も鉄虎も奏汰もありがとなー」

ふと、視線を動かしたら何か言いたそうな翠が見えた。どうやって切り出すかと、思ってたら奏汰がそっちに寄ってったので、とりあえず俺の作った菓子を消化するために俺の胃の中にもおさめる。比較的カリカリ目に作ったけれど、ある意味ドーナツっぽくって旨い。コーヒー欲しくなるなぁ。とか色々思い浮かべてたら、千秋からチョコをもらった。…お前、これ手作りか?って確認したらそうだっていうから、俺はとりあえず、胃薬用意したら食うな。って宣言してると、そういえば、思い出したかのように試験の話をしてきたから俺は千秋の脇腹に肘を喰らわせた。

「えっと…一之瀬先輩…俺もバレンタインの…準備してて」
「まじか!」

あんまり得意じゃないって聞いてたからさ。あんがと。俺の、…お前ら手袋してんだよな……って待て!!鉄虎、奏汰!忍お前ら手袋してなかったか!?思い出して確認すると、手袋にちょっとだけチョコレートがついてた、奏汰に至っては手袋チョコまみれだ。くっそ!!お前ら後先かんがえてねえだろ!こら!俺の【ショコラフェス】はチョコ落としから始まるのだった。ちなみに翠からのクッキーはいろんな形のアソート。…すまんな、無個性で。あ。ライブはつつがなく終えました。ひっさびさのアクロバット楽しかったけどさぁ。…大学入試で俺を見たよ!っていうファンがいて、俺ははぐらかしてたんだけど、一年生たちに見つかって詰問されました。ちゃんちゃん。黙ってて悪かったって。



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