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次が体育だから、このタイミングでおにぎりを食べて、昼休みにお弁当を、部活前にまたおにぎりを、とぼんやりカロリー計算をおこなっていると、背後から友也に呼ばれて驚いて小さく飛び上がった。

「あぁ、ごめん。驚かせた?」
「勝手に驚いただけだから、大丈夫。どうしたの?」
「登良、忘れてるだろ?今日、二時限目と四時限目入れ替わったろ?」
「そうだっけ…」

登良が首をかしげると友也は黒板の隅にかかれた連絡事項を指差した。確かに、そこに二時限目と四時限目のいれ代わりが発生しているようだ。たべかけのおにぎりを慌てて包みなおして、登良は自分のロッカーから体操服と下履きを取り出すために教室の後方に走った。更衣室に登良が来ないって創が心配してたから見に来たんだけど良かったな。行くぞ。あきれながらも友也は登良を急かして二人で教室を出る。貴重品と必要なものだけを持っていくようにと指導されているので教室の施錠の必要もない。
今日の体育はなにやるの?先週の続きキャッチボールとランニングだって。えーやだなぁ。改めて登良に嫌いなのってあるんだなぁ。あるよ俺だって苦手なものはあるよ暗いのとか兄とか兄とか。兄ばかりだな…。
他愛ない話をしながら廊下を歩いていると、俺をよんだかあ?とどこからともなく兄が現れたが、登良はそこに何もなかったかのように斑の横をすり抜けて道を歩いてく。斑の存在に気づいた友也は、どちらに声をかけるか一瞬なやんだが、一礼だけして登良のあとを追いかけた。斑はやられたなあ。とカラカラ笑って登良が去っていった方向を見てから、また己が行くべき方向に向かっていったのだった。

「ほんと登良のところの兄弟間って不思議だよな。」
「あれが異常。俺だって妹とは良好な関係だよ。」

あれはざるの目が荒すぎて全部振り落としてるの。残ったものだけが個性だとでも思ってるんじゃない?一刀両断ともいえるほどのすっぱり割ってしまうほどに登良と斑の間は悪い。だけれども、そうじゃないんだろうなぁ。とも友也は考えた。そうだったら、兄のあとを追いかけるように学院には来ないだろう。どうやったらこの兄弟は良好になるのか。まぁ、【ハロウィンパーティ】の時に膝の上に座ったまま寝ていたと記憶しているのだが、はて。と思った瞬間に、先日打ち合わせでわかった事実とつながってしまった。

「【ハロウィンパーティ】の合宿のときもしかして、暗いのが怖くて自分の兄にすがった…?」
「友也?なに考えてたの?」

ぎろりと登良の目線が突き刺さる。本能的に友也はあ、正解を踏んだっぽいと判断して、適当にごまかした。が、疑り深いというよりも考えすぎる登良からどうやって追求を逃れるか思案したとき時計が残り5分を過ぎていたことに気がついて、友也は先ほどの発言をうやむやにすることに成功した。登良は、カロリー計算をあとでしなおさなければと頭のなかに叩き込みながら、登良は友也に声をかけて二人で廊下を走り出した。
かろうじて生徒会に見つかることもなく更衣室に到着して、二人は授業を行った。



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