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この間のライブの反省として空き教室を借りて、やいやいいいながら次回への改善点や変更点などの話を進めているので、ぼんやりと思い出しながらあれやこれやと思い出しながら登良も考えながらも言葉を捻りだしていく。二曲目サビ前で体幹がずれただとかぽつりと口に出していく。がそうか?と周りが首をかしげていく。けれども登良はそうだったよ。と上げていく。
対外的な交渉スキルはすこしづつ順番に教えてもらったりはしているけれども、ライブの事についてあまりきいたことないな。と思い出した。
一つ思い出せば、思考はそこで足踏みを初める。『Ra*bits』のためにできることと思って、始めたことは覚えることが多いけれども実りもある。もっと活用できないだろうか。もっと彼らのためになることはあるのだろうか、そう考えているとこの間のライブのサイリウムがきれいだったななんて思い出す頃には目の前でひらひらと手をふられていた。

「登良くんどうしました?」
「この間のライブについて思ってたの。」

ライブのサイリウムがきれいで安心してた。怖くなかった。思い出してゆるゆると口角をゆるめてれば、登良くん楽しそうでしたよね。なんて創が言う。前々から思ってたんだけど怖くないってなにだ。と友也が首をかしげた。

「あ…えっと、ずっと言いそびれてたんだけど。暗いのが嫌い。嫌いっていうよりも、暗所恐怖症で…。」
「あんしょ?あんしょってなんだ?」
「光くん。あんしょは、暗いところですよ。」

そういえば、初めてのライブ前とか死にそうな顔してたよな。登良ちん。
半年ほどまえを思い出しながら、なずなはそう言った。確かに、あの初めてのライブは、緊張も暗闇もあってか発作でも起こすかっていうぐらに震えてたよな。なんて余計なことも思い出されつつ、登良は視線を落としてぽつりぽつりと言葉を落としていく。

「んと……小さな頃に、誘拐事件があってその時以来、暗いところがダメで。そのために空手も覚えたけれど、それでもやっぱり暗いところはこわいし、泣きそうになるな…。」

手足を縛られて床に置かれて、泣いても叫んでも誰も来てくれなかった。月も出ている夜だったのに、部屋のなかは真っ暗で電気もつかなくて、ひどく怖くて今でも一人で寝るときは電気をつけてる…。【ハロウィンパーティ】の時も言おうと思ってたんだけど、言い出すタイミングが見当たらなくて、恐いから電気が消えるまえに寝ちゃったりとかしてたんだ。
恥ずかしそうに頬をかきながら、視線を反らした。創は共感するが、すこし納得のいってないのは、友也だった。

「登良、なんでもっと早くに言わないんだよ。俺たち仲間だろ?」
「そうだけど。みんなが居るから安心して動けてるんだよ。光が、友也が、創が、に〜ちゃんがそばにいるってわかってるから、怖くないんだよ。だから言わなかった。そこについては申し訳ないなって思うよ。」

だけども一人じゃない。そう主張すると、流石スーパースターの天満光様だぜぇ!といいつつ胸を張るので、登良は光に、みんなに改めて礼を言う。
俺、『Ra*bits』に入れて良かったな。って思ってるんだ。最初はあの『三毛縞』の弟でいろいろ弾かれちゃったけれど。それでも、今はここにいるんだもん。恥ずかしそうに笑うのを見て、友也は最初登良がそうやって弾かれていることを思い出した。どこにいってもそれで頭を抱えていた姿も見てたから声をかけたのだ。ふとそんな光景を思い出して、友也は登良に謝罪をいれかけたが、おあいこだからいらないよ。と登良が笑い飛ばした。一瞬なずなが視線をさ迷わせたが問題ないだろうとっほと息をついて、話をもどすぞー。なんて声をかけて脱線していたのを軌道を戻した。



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