カラオケ大会。





チャイムが鳴って休憩時間。自席で携帯を触っていたら不意に名前を呼ばれた。振りかえればひなたと翠それに鉄虎が会話をくりひろげていた。登良の前にひなたがやってきて質問を投げた。

「ねぇねぇ、登良くんってカラオケでなに歌うの?」
「カラオケで?」

そう!B組がみんなでカラオケに行った!って聞いてさ。何を歌う?って言う話になったんたけど。そうひなたは言う。記憶を掘り返しながら周りを伺うが創も友也も姿が見えず登良はよく聞くものを思いだしながら言葉を紡ぐ。

「…入学前は、洋楽ロック…とか、ヘビメタは聞いてたけど…うーん…」
「えぇ?!登良くん。ヘビメタとかやるの!?デスボも??」

え?登良くん入るユニット間違ってない??そうひなたは食いぎみで登良に寄る。なんで空手部なの!軽音いいよ!!と勢いが強くて圧倒されるようにすこし後ろに下がる。鉄虎が気付いて親分は恥ずかしがり屋だから近付いちゃダメっすよー。なんて言いつつひなたを剥がした。

「…あぁ……えっと…洋楽好きだし…俺、背低いし、女の子みたいな顔してるし…せめて声ぐらい低くなりたくて…声変わりらしい声変わり高校生になっても来てないし、来てほしかったから…枯らすぐらいにやったけど、声カスカスで聞き取れないってお兄…兄が聞き取れなくて勝手に解釈して行動をするから毎日殴りあいになったからやめた。」
「いや、気持ちはわかるけど、それダメな声の使い方だから。やめよ!」
「うん。今はユニットがユニットだしね。やらないよ」

かわいいをうりにしてるのに、途端にデスボイスが入ると印象が変わっちゃうしねぇ。あとはなにだろ?と記憶を選っていればクラスのみんなでなにか、という記憶は薄い。じゃあさ。と両手を叩いて名案だというように顔を輝かせながらゆうたは嬉しそうだ。

「おれたちも対抗してカラオケ行こうよ。1Bよりユニットの数が少ないからさ、いきやすいよね!」
「そうだね。部活もみんな違うから、だいぶ先になっちゃいそうだけどね。」
「いつかみんなで行くっスよ!」
「鉄虎、声量下げて……翠も行こうね。」

輪から逃げたそうにする翠にも肯定させつつ登良は翠の前に小指を差し出せば、翠はすこし困って悩んでから登良と指を絡めたので、満足そうに登良は絡めた指を上下に震ってにっこり笑う。

「みんなで行こうね、鉄虎。」
「勿論スよ、親分。」
「ひなたもね!」

勿論だよ!と笑顔が返ってくるので、早く創と友也に伝えたいな、なんて考えながらなにしようかと登良は心を踊らせた。



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