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お茶とお菓子と会話を続けていると、おなかがいっぱいになったね。とかそういう話がちらほらでてきた。

「俺も甘いのはもういいかな、…えっとごちそうさまでした。」
「食べ終わったら手を合わせます!」
「登良は?」
「…俺もおなか一杯。」

曖昧に笑っていると、桃李がこれからなにをする?と話を投げてくる。創と二人で遊ぶときはお茶をしながらおしゃべりしてるというらしい。

「こういうときって、普通はどんなことをするんだろう?俺たち友だちがたくさんいる感じじゃないし、登良くんはこういう時ってどうする?」
「俺?」

……道場仲間だったら。トレーニング法とか、最近の流行やルールとかだけれど…。たぶんこれは違う。じゃあなにだろう?と思考する。優しい友達は、登良の考える時間として待っていてくれるが、答えは早急に出さなければならない。思考を巡らせて、考える。

「いろいろ考えたけど、トレーニング法とか、最近は第二言語の習得とか…」
「食事をしながら談笑したり、ときどきダンスをしたりするかな。社交ダンスが苦手だし、周りは大人ばっかりで好きじゃないんだけど。」

大道芸人やマジシャンを呼んでパフォーマンスしてもらうこともあるよ!と桃李が手を叩くが、普通の高校生にそれはできない。どうするか、と考えると、単語を拾った宙がマジックショウですか?と声を上げた。

「HiHi〜、見てみて!宙の両手には何もないな〜」

ひらひらと両手を振って、動くさまは手品の語りだ。でもね。と声色を変えて、ポケットからハンカチを取り出して、くしゃくしゃに丸めていく。

「手の中でくしゃくしゃって丸めると、花が出てきます!ClapClap凄いと思ったら拍手してください!」
「おお!すごい、すごいでござる〜!全然わからなかったでござるよ!春川くん!マジックが得意なんでござるな〜」
「ボクはロン毛を思い出すから、素直にすごいって思えないけど。」

見知らぬ呼称に宙が首を傾げて、それってたぶん大ししょ〜のことな〜?宙は大ししょ〜からマジックを教わったな〜。うげっ、そうだったの?
話題が走り出したと登良は無意識に思った。桃李と宙が楽しく話しているのを見て、安堵を覚える。日々樹とどうこう、だなんて話をしていると、宙の動きが止まった。

「えっ、いきなりどうしたの?」
「何か、ちょっとさみしそうな『色』が見えるな〜」

姫ちゃんじゃないっぽい?でも、よく似た『色』をしてます!姫ちゃん、兄妹とかいます?うん、妹がいるよ〜。まだ、お前たちに紹介してなかったよね。紹介してあげたいけど、妹はちょっと体が弱くてさ。今も風邪をひいてて部屋にこもりっきりなんだ。
そんな理由に宙が納得して、だからよく似た『色』をしてたんですね?
ふと建物の方を見るとうっすら人影が見える気がする。…何かできるかな?と思いながら、そちらを見て登良は首を傾げる。神経質な妹を持つ身として、なんとかしてあげたいな。とも思考する。

「皆様、ご歓談中失礼いたします。」
「弓弦!?ベルは鳴らしてないのに、なんでいるの?」
「本日はキングの定期検診がございますので、病院へ行ってまいります。」

あれ、今日だっけ?どうしよう忘れてた!えぇっと、時間もかからないし戻ってくるまでみんなにはボクの部屋で待っててもらえばいいかなぁ!?
声に焦りが乗っていく桃李をなだめるように弓弦が言葉を落としていく。どうやら弓弦が責任を持って病院まで連れて行くという。なんだかんだと二人が話しているのを眺める。揉めるでもなく報告とも違うようなかんじがするそれに登良は首を傾げる。
朔間さんから習ったことに似たような事象があったなぁ。とか思い出しながら、思考を巡らせている。

「どうしたの?登良くん」
「ううん、考え事してた。大丈夫。」

そうだ遊びに来てるのにこの思考を回しているのは危ない。今日の面々は一年で占めており、この思考に関連する対応は家に帰ってから聞くとしよう。思考を決めた頃、失礼しますね。と弓弦が屋敷の方に戻っていった。弓弦の背中を見送っていると、桃李がおい。と音を出した。

「あれだしてよ。」
「HaHa〜?あれってなんです?」
「三毛縞にあずけたでしょ?」

預けたというか、押し付けられたというか。思い出して登良は鞄を出すと桃李にひったくられた。桃李。と声で制したが、キラキラした目で見られると強く言えなくて、眉尻を下げた。

「鬼の居ぬ間に洗濯だよ。弓弦帰ってくるまでゲームしようってこと!」
「HiHi〜宙は大賛成です。ゲームは一人プレイもできますけど、大勢で遊んだ方が楽しいです!」

じゃあ早く家に入ろう!ず〜っと前から遊んでみたかったんだ!思う存分、羽目を外しちゃうぞ〜。




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