俺とスカウト ゴンドラ 3 





つむぎくんが大袈裟に目にごみが入って眼鏡を脇に置いた。置いた場所が悪かったのか眼鏡がないとつむぎくんがっ悲鳴をあげて混乱して、ちかくの花瓶を落とす。おいおい、俺の方がびっくりして叫ぶわ。さすがアイドル。発声が違うよね。……じゃなくって、もういいからつむぎくん、座ってて。眼鏡ぐらい俺が探すし、花瓶も片付けるから。おちつけ、とむりやり長椅子に座らせる。とりあえず、花瓶の片付けから手をつけ出す。地面の花瓶の残骸を拾っていくと、パニックを聞き付けてかあんずが飛び込んできたりした。とりあえず対応をつむぎくんにおまかせしてたら、あんずがわかりましたよ!とまた飛び出していった。そんなにぎやかを聞きながら、俺は眼鏡の捜索を続ける。眼鏡はつむぎくんが座ってたところの奥に落ちてた。たぶん蹴ったんだろうね。

「つむぎくん、あったよー。とりあえず、そっち持っていくから、動くな。二次災害増やされても困る。」
「ははは、ごめんなさい、ゆらぎくん。ご迷惑お掛けしてます」
「これぐらいいいんじゃない?討伐だとかんなレベル問題じゃなけれっばいくらでもって、さっきから言ってるのに君は聞き入れてくれないよねぇ。頑固。」

その口調瀬名くんみたいですね。ですね、じゃなくて似せたの!ほいと眼鏡を渡すと、つむぎくんは礼をいいながら眼鏡を装着した。つむぎくんも落ち着いたようで、とりあえず、もうわかったから、あんずは何だったの?眼鏡がなくなった、って伝えたらどこかに走っていきましたけど、どこに行ったんでしょう?いや、俺が聞きたいよ。
この間から紫之は面白いことばかりやっこてるのな。この間、守沢のとこのと廊下を滑っあ遊んでたところに遭遇した話をするとしつれいするぞ、と朔間がその後ろにあんずが一緒に入ってきた。なんだ珍しい。

「おや、零くん、図書室に遊びに来てくれたんですか?今日はいろんな人が来てくれて嬉しいですよね、ゆらぎくん。」
「別に俺は図書室の来客人数は興味ないから」
「嬢ちゃん、どううことじゃ?見た感じパニックになっておらんし眼鏡もかけておるんじゃけども?」

朔間がはて、と言う具合に首を傾げている。俺も事情がわからないので様子を見てると、あんずが朔間を呼び出したらしい、つむぎくんのパニックぶりに慌てて勘違いした様子らしく、慌てて朔間を呼んだらしい。とりあえずこういうことがあった。とだけ一連をかいつまんで説明すると、基本的に真面目なあんずが血相変えて軽音部に駆け込んでて助けを求めるというのだから、まぁなんで朔間だったのかはよくわからない。

「今日の運勢が最悪だったときいたが、まぁお主の人生じゃもの好きにせいとは思うけどのう。占いに頼りすぎるのはほどほどにせんとな。」

ああだこうだと朔間が言うが、俺が言っても聞かないのだから、そういうものだろう。気になるならなればいいし、好きなだけやって諦めてくれるのが一番手っ取り早いだろうと思う。いつか気がついて目が覚めればいい。ぐらいで思っている俺は兄としてはどうなんだろう。まぁ最近家族になったところでもあるので、踏み込みにくい領域だ。今で言う悪徳商法じみたあの団体さんだって、目が覚めるように夢がほどけたように無くなるのだ。そういうものだろう。

「ひっ、目薬!?」
「んあ?どうしたのつむぎくん」
「すす、すみません!俺、今日は水難の相が出ていて!いや、水じゃなくて目薬なのはわかってるんですけど〜。」
「懲りないのう、青葉くん。まぁ良い、そろそろ完全下校時刻じゃから帰宅した方がよいぞ。」
「もうそんな時間か帰り支度して、さっさと帰ろうぜ。買い物も行かねえとなぁ。」
「雨脚強まっちゃいましたねぇ……。」

え、まじ?と視線を窓の外に向けると、ガラスを叩いている雨は確かに強い。杖だし、びしょぬれになるかな、と考えてるとつむぎくんんお思考がマイナスになっていって一帯が水没とか言い出してる。ここ丘の上っていうか、ちょっとした高台になってること忘れてるんじゃないかな。と俺は思ってしまう。いや、思考が爆走してるときに他の現実って目につきにくいことを知ってるので、好きにさせてる部分はあるけど。さ。いい加減やりすぎだな、っていう判断ラインを決めねばならないかもしれない。

「転校生の嬢ちゃん、申し訳ないんじゃけども、青葉くんと一緒に帰ってあげてくれんかのう?」
「勿論です!まかせてください!ゆらぎ先輩と青葉先輩を送り届けますよっ!」
「とりあえず、お前は水を引っかけられないようにだけ気をつけろ。そんだけでいいよ。」
「嬢ちゃんが一緒ならば安心じゃ、ほれ、青葉くんもお礼を言うんじゃぞ」

うちのつむぎくんがお世話になります。と頭を撫で上げた下げれば、つむぎくんにもう俺が言う台詞です!と怒られた。何故だ。理不尽極まりない。お主ら兄弟はほんとに仲がよいのう。うちの凛月ともっこうだったらいいのに。なんていう呟きが聞こえたが、俺は触れないぞ。触れたら面倒だと思ったので、ただ黙っておいたら妙な空気になったのは言わないでおこう。



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