俺とつむぎくんとおさんどん。 





外部ライブのために俺は仮歌をしゃかしゃか聞き込んで、校門横で、今日も今日とて振り付け原案のバイト。
これが意外と稼ぎがいい。月永が帰ってきてから曲がじゃんじゃん降ってくるから、俺もじゃんじゃん作り込む。その分多少しょっぴいてもお釣りは来るぐらいに儲かる。ありがとう構内通貨。そこだけありがと天祥院。そんなことを考えながら柔軟をしているとまっすぐ帰ろうとしているつむぎくんに出会った。

「ゆらぎくん!また踊ってるんですか?」
「あ、つむぎくん。」
「この間、背中痛めたって言ってませんでしたっけ?」

ぎくっ、いや、だってあれは守沢が俺が軽くて調子のって肩車したからであって、断じて俺のせいではない。背中にしっぷをはってもらった事もあってバレバレなのだが。その柔軟したら帰りますよ。とつむぎくんが笑みを深めた。ちょっとお怒りっぽい。が、俺だって仕事を抱えているのだ。引かないぞ。と自分にエール。

「無理な運動はしたらだめって、この間お医者さんに言われてませんでしたっけ?」
「左様でございます。」
「なら、ゆらぎくん、解ってますよね?」
「柔軟だけ終わったら一緒に帰りましょう。つむぎくん。」

仕方がないですねと言いつつ、顔にわかればよろしい。って書いてるの怖いんですよ、つむぎくん。いや怖いし、きみ、たまにセコムって呼ばれてるの知ってる?瀬名がなんかこの間言ってたけど、いや怖くて俺もきみに聞けないや。背中押して、と促せばつむぎくんはやれやれと言わんばかりにため息をついて鞄を地面においてから俺の背中に力を込めて押す。リズミカルに押されながら、とりとめない話をつむぎくんから投げられる。

「今晩なにが食べたいですか?」
「チーズと白菜かな。」
「また難しい事言いますねぇ」

あと豚肉。全部冷蔵庫に入ってないものしか言ってません?そんなことなーい。食べたいものだけ並べた。わかりました、ロールキャベツにしましょう。って、俺の今のやりとりいる??脈略なさすぎて俺がビックリしたわ。中にチーズを入れたハンバーグをキャベツと一緒に煮込みましょうと言ってたはずなのに、今晩の晩御飯がうどんとかやくご飯だったので、訴訟である。出されたものを目の前にして、問いかける。

「つむぎくん、どういことかな?」
「失敗しました。醤油を入れすぎてかなり濃くなってしまって……」
「わかったから、わかったからこっから挽回すれば豚肉と白菜……キャベツは食べれるんだよね?」
「でも、体に」

熱量メイン!栄養二の次!を合言葉に俺はつむぎくんを台所から追い返して、挽回をしてやると決める。そうだ俺は一閥だ、なんでも出来るしやってやると決めて、俺は料理に取りかかりみごとに煮込みハンバーグ的なものは和風スープに姿を変えさせることに成功した。俺、手芸以外ならだいたい出来る男なんだよ!って持っていったら、つむぎくん。ふつうにかやくご飯とうどん食べてた。俺の渾身の力作は明日の朝御飯へと姿を代えて、俺の明日の朝御飯は昼御飯へと代わった瞬間だった。おい。俺は君の何なんだ?



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