俺と跳進!夜明けを告げる維新ライブ 5e 





「青い先輩のお兄さんはどーする?」
「あ?」

脳内で、新撰組側の振り付けを考えてたら、明星が飛び付いてきた。衝撃に耐えきれず、明星に押し倒される感じになったが、いいよ適当で。バランスでふってー。と伝えると、えー!と言われるので、いいよ船で。端役も大事、踊れたら俺はどこでもいい。とかいってると、つむぎくんがじゃあ俺と一緒にしましょう。じゃあおれたちと一緒だ!と明星は犬のようにはしゃいでいる。重いからどけと、横に移動させてから、俺はやっぱり踊って確認する方がいいや、と思い立って、蓮巳にもう一回レッスン場を貸してくれと、言うと呆れられたが俺の存在意義は躍りなのでそれでいい。また配役決まったら教えて。と伝えるだけ伝えて俺はそっと練習場に移動する。移動してる間に、鬼龍と三毛縞を見かけたが、遠くで墓に手を合わせてるところだったので、俺も一瞬手だけ合わせて、レッスン場に入る。
小道具の刀なんて使うのは久しぶりだなぁ、とか思いつつ軽く振ってから、構える。楽曲に合わせて、あのときかじった簡易な見映えのよい型を行う。思ったよりも楽曲と連動して明日にでも提案するかと考え出したら、一気に動きが決まる。フォーメーションはまだ決めきれないが、『紅月』を中心に据えればいいので、切る切られる役が逆転するぐらいだろうか。そのまま軽い殺陣をいれつつ体を動かしてると、蓮巳が各々新撰組っぽいパフォーマンスをするから、転校生と一緒に審査をしてほしいと。言われて俺はやる必要ある?と問いかけると、やらないと話がまとまらない。と言われて俺ははいそうですか、と呆れる。

「英智がややこしくするからこうなった」
「まぁ、そうなるだろうなぁ。」

クラスを見てたらそう思うよ。とカラカラ笑いながら、部屋の隅に置いていた杖を手に取ると、やはり足の調子は良くないのか。と言われて、リハビリばっかり、事故前のぐらいにはなかなか戻らねえわな。踊ってるからか一進一退なんだよなぁ。と踊るなよ。と指摘を受ける。いやーねぇ。校内バイトの割りはいいし踊れるし、活動費は手に入るし良いことしかないんだよな。だって、俺高校入るまで生活能力皆無な人生してたし自由に動けてるのが楽しいんだよ。笑ってると、お前は一度本格的にリハビリしてこい。と雷が落ちるが、今んところ仕事が立て込まないので、まぁそろそろね。と適当にはぐらかすことにした。

「普通のパフォーマンスはできてんだもん。よくないけど、いいじゃん。」
「こっそり激しい振り付けをしてるというなら、生徒会の一存で活動停止とかも検討するぞ」
「活動停止ねぇ。名前は奪わねえんだな。」

怪訝な顔されたけど、ほっとけ。ってかんじ。やっぱ心のどっかでアイツラに渡したくない精神があるのって、俺もすげーやべーやつだよな。と一人思う。っていうか、新撰組のパフォーマンスってなにすんだよ。と言ってやると、今各ユニットで相談中だ。と言い切られた。三毛縞と『紅月』の組み合わせとかあんまりだなぁ。とか思いつつ、俺は急拵え『Trickstar』と『紅月』のパフォーマンスを見ることになった。これのお陰で、新たな表現法がみつかったので、存分に採用させてもらうことにする。天祥院になにか言いたげな目をされたが、俺はしらないし。俺ははしっこで踊れてたらいいので、なんでもよい。が、青い先輩のお兄さんもやってよー!とせがまれたので、明日説明する予定のパフォーマンスを繰り広げたら、蓮巳に怒鳴られた。膝使いすぎだってさ。だって、俺民族楽曲特化ユニットだよ。膝使わないでどーすんだよ。ぐだぐだやったって、移動に難のある俺は、はしっこ要員に収まるのです。収めるのです。えぇ、無理矢理俺ははしっこを強奪したさ!

そんなお泊まり合宿も終わってライブ当日。衣装に着替えた俺たちは最終確認がてらに現地に立っていた。
資金のかかってそうなライブ会場にうへぇ。と声が出る。それとなく予算がおもいうかぶので、三毛縞の伝というものに、脅威を覚える。寺の中に水張ったりして、かなり装置に力いれてない?とか確認とってみたい。っていうか、ここの業者知りたいかも。とか思ってしまう裏方人間の性。

「あれ?ずるいっ、英智先輩が新撰組の衣装を着てる!いいな!」
「俺たちは倒幕派の攘夷志士という配役になったはずだぞ?」

転校生が予備で用意した衣装を見つけちゃったからね、ちゃっかり着てみたよ。と天祥院が笑うが、フォーメーションまで完璧に仕上げたのに、替えるつもりじゃねえだろな?と俺は睨む。天祥院はもちろんそこはちゃんとやるよ。どんな戦争だって死者は出るからね。と笑ってるが、俺は動き変えられるのが不満なの。似合うかな?じゃねえよ。お坊っちゃんが。

「俺はゆらぎくんとお揃いの衣装で嬉しいですけどね。」
「はいはい。よかったねーつむぎくん。」
「青い先輩たちも俺たちと同じ感じの衣装だ!いえ〜い、なっかまー!」
「はいはい、なっかまー。」
「ゆらぎくん、アイドルらしくない顔してますよ!」

俺、お前ら若いのについてけないよ。テンションとか。もうノリとか。まぢ無理。…使うんじゃなかった。痛いって。俺が。俺のメンタルが。ひっそり自己嫌悪。がっくり肩を落としてると、見回りに来た蓮巳が気持ちを切り替えろ。何て言うけど、音が鳴り出したら俺のテンションも上がってくるから、ほっといて。ってかんじ。天祥院たちはメガネの話をしたら蓮巳がやってきた。とかテンションあげてるので、俺はそっから距離を取って、転校生の方によると、泥のように寝てた。平気なかんじでぐーすか寝てるので、俺は見張りを兼ねて、腰を据えて今回のライブ楽曲を鼻唄で諳じる。天祥院が氷鷹とわいわいしてるのを見てると、なんか平和だねぇ。と俺はしみじみ思ってしまう。きちんと学校とか行ってたら、俺もああして馬鹿できたんかね。と思いつつ、ため息ひとつ。今回のライブについては、色々俺も客観してるところがあったが、天祥院がこっそり解消したりしてる部分も見受けられてるので、まぁ、平和に終わるのだろう。それならそれでいい。ドリフェスでもないし、採点もない。お客さんに見てもらって、よかったね。で終わる。それだけのライブだ。

「まぁ、バランス論って使いたくねえけど。今回はそんな着地点かね。三毛縞さんよ。」
「ゆらぎさんはよく気がついたなあ」
「さっきまで遠くでお前の声がしてたのに、急に聞こえなくなったら用心するっての」
「ライブが始まるぞお、ゆらぎさん。今日も頑張ろう!えいえいおう!」

はいはい、えいえいおう。んじゃ、まぁ、三毛縞転校生起こして、ライブと洒落こもうじゃねえか。



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