俺と最後の踏伐・夜の終演ライブ。 01 





職員室に用事があって移動中だったのだが、お、日々樹じゃん。とか思った瞬間に拉致られてた。肩の上に腰をかけるように乗せられてた。まて、それいろいろおかしい!肩の上に乗せられるとかなに?!?俺おとぎ話?いや違うよ。下ろせ!と叫ぶが聞く耳貸してくんなくて途中までは暴れたけど!暴れたら俵担ぎするの。腹に肩食い込んで痛いの!痛いの!帰ってくるの!なんなのあいうガタイ良すぎ。いや俺軽すぎィ!暴れても抑えられてるの悲しい。そのまま見知らぬ部屋の椅子に下ろされた、まてよ。俺の杖は?!ありますよ!と手品のように出された杖は俺の歩行用杖でマジックに使うようなやつじゃないの、日々樹!ありますよ!じゃないの!

「日々樹、俺職員室行こうと思ってるんだけど!」

佐賀美ちゃんところに持っていこうとしていた資料を突き上げて主張すると、日々樹に企画書を奪われた。日々樹が俺の企画書をぱらぱら眺めてふむふむと納得をする…俺の夢だけを突っ込むだけ詰め込んだ企画書を返せと手を伸ばすが届かずに空振る。いつか果たせなかった約束を果たしたいだけの企画書。五奇人と一閥の共演なんて夢のまた夢の絵空事。

「日々樹返せって!」

一通り読み終わった日々樹が、何かを考えるような素振りをしてから言う。あなたが企画書をきるなんて一体何があったんですかね?私で良ければそのお話を聞いても?今ならあなたの話を叶えられそうだ。と目の前の男が言い切る。いやできるわけがない。あの皇帝陛下のいるところのやつだぞ。

「今ならなにか奇跡を起こせそうですよ?」
「何かって…そんな起こせるわけないだろ!」

本当にそう思ってこの企画書を書いたのですか?ゆらぎ、貴方は思ってもないことを企画書に詰め込んだのですか?そう言われて俺はグッと詰まった。それは俺が叶えたいだけで、叶うかはわからない企画書で、俺が否定したら全て無かったことになる企画書で。だが、目の前の日々樹は、皇帝陛下の刃でもあって。

「そんなわけない。俺の夢が一杯詰まった企画書だ!誰かの好きにさせるかって、の!!」

元気な右足だけで上に跳ねて、書類を奪うように回収する。Amazing!と言われたが俺そんなんじゃねーから!と吠えるが、日々樹は薄く笑い、ゆらぎもかなりの強情ですよね。言わないと願いは叶わないんですよ。自分を認めてあげなさい。と説き伏せるように言う。

「…じゃあさ。俺が手伝ってとか言えば日々樹は手伝ってくれんの?」

俺がやりたい、五奇人と一閥が踊っている絵姿を作りたい。と思っている光景を手伝ってくれるのだろうか。喉まで出掛けて飲みのんだ。もしも言って答えてくれなければ俺の夢が最初から壊れてしまう。…ぐっと唇を噛みしめると、口は言葉を吐くためのものですよ。なんてたしなめられる。

「で、手伝ってくれんの?」
「勿論許可が出ればですがね?」
「じゃあ問題ない。」

たまたま俺のライブの最中にバックダンサーが足りなくなるアクシデントに見回れるんだからな!友達の伝を伝って急拵えのに申し出るんだろ日々樹?これはなかなか、一本とられましたね!
ま、嘘だけどな。と笑っておく。逃げ道は作っておく。嘘なのだから無いんだよ。適当に笑っておくとチャイムが鳴りだす。やっべ!俺移動教室なんだよな!日々樹お前なら行けるだろ!走ってくれ!あなたという人は!と言われても日々樹という馬は魅力的である。




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