俺と疲労と金色の風・励ましのウイッシングライブ。 6 





最終確認はじめまるぞお。と三毛縞にたたき起こされた。立ち上がるのに時間がかかるので影片に手を借りて立ち上がる。最終確認で俺も一番端のポジションに立つ。万が一でも大丈夫なように自分自身に保険をかけておいた。今回結構な人数がいるのでラインダンスをしてるのだが、ばれても問題ないように隣は影片にしている。音楽の鳴りはじめと同時に満面の笑みで俺たちが踊る。もうちょっとしたらあんずがきっとキラキラした笑顔をみせてくれるのなら今回頑張った甲斐がある。ラインダンスとか、できるとかほんと嬉しくてニヤニヤしているのが気持ち悪がられるかもしれないが。ステージが餌というので俺は単純にできている。踊れたらなんでもいい。

「ゆらぎ殿楽しそうですな!」
「踊れるんだから、楽しいさ。それもみんなでだからな、紫之。」
「ゆらぎ先輩は嬉しそうですよね。」

仙石から話を振られて、踊れるなら、「俺はどこへでも踊ってやるよ。」笑って『Ra*bit』から参加してる紫之がクスクス笑っているので、俺はそっと離れた。とりあえず病院につくまでは影片か鳴上の隣にとりあえず居る。二人の会話にずっと頷きながらも考えるのは踊りのことばかりだ。昼に薬を飲んだが、頭はだんだんぼうっとしてきて、ふうっと息を吐く。三毛縞の移動開始を聞いて俺はぼうっとそっちに動く。羽風が何か言ったがうまいこと聞こえず適度に返事しつつ流す。どうやっていどうするんだろう?とふと思ったが、見て直ぐに理解した。天祥院の采配のバスらしい。バスの塗装にそう書いてるのがぼんやりと見えた。あいつホント何やってる家の人なの?って最近よく思う。なんでもいいや。しらね。と吐き出して、諦めてさっさとバスに乗り込む。いっそ、車酔いにして吐いたりしたらまだいいんだろうけど、誰かと接触したら熱があるのをバレたらめんどくさい。二人掛けの席に腰を掛けて、窓に身を任せ得て目を閉じる。窓が冷たくてとても気持ちいい。氷枕とか冷え●た的なのもつけれてないので、下手しまだまだ熱はあがるかもしれない。鞄の中の錠剤の残り回数を考えているとバスはゆっくりと走り出す。ライブ予定まであと1時間を切った。あと1時間で終わったら家に帰れる。とか思いつつ、車の揺れに身を任せて体力の回復に努める。寒くて震えそうなのを必死になって堪えて病院に早くつけと心の底から俺は願う。
「ゆらぎ先輩、はいどうぞ。」なんて椅子の上から鳴上が水を飲むかと差し出してくれたのでに二三口飲んで、そのままぐったりと目を閉じる。蓮巳が声をかけてきたが、寝てるふりをしてやり過ごしてバスは滑らかに駐車場に入る。ついたぞーとか葵と仙石の声を聴きながらのたのた杖をついて車を降りる。会場はすでに設営されているらしいので、あとは音響確認をやってあと15分後に夏目があんずを迎えに行くという声に返事を返しつつ近くの椅子に腰を掛けて、周りをぼんやりと見つめる。

「ゆらぎ殿、三毛縞殿が呼んでるでござる」
「わかった、今いく」

立ち上がって杖をつく。視界がぼやけだしている、深く息を吸って動き出す。平然とわからないようにしろと自分自身に言い聞かす。バレたらここで終わりだと心の中でつぶやく。顔色に出したら終わりだ俺のアイドルは、どこまでも大丈夫だと自分自身を騙していくしかないと決めて取り繕う。

「どうした?…」
「いや、最後のここをだな。」

三毛縞が椅子を誘導してくれたので、そのまま話を聞く。内容としてちょっとだけステージ幅が足りなくて仙石のバトンスペースが怪しいというので、どうするかというので。あきらめて俺は言う、あんずの前でいいじゃん。そっちのほうがよく見えるしそれでいいよ。仙石ー!こっちこい!とっさに叫んで仙石を呼び出し、さっさと方向性を最終確認しているとそろそろ夏目を送り出す時間になってしまった。全員で見送ろうとしたら「ゆらぎにいさん、一緒に行こう。子猫ちゃんを迎えにサ。」おい、ちょっと待てっての。と声を出すと、始まるまで時間があるし行って来いと俺も急遽夏目に混ざってあんずを迎えに行くことになった。なんでだ?と思っていると、彼らも最終調整だヨ。と言う。なんだってんだ、俺が完全に作ったのに。そんなことねえだろ、と言うが夏目に言われると飲み込まざる得ない。

「俺基本的についてはいくが、話を聞くだけにするぞ。」
「勿論、ついてきてくれるのがボクの役目だからネ。」

なんだかひっかかる言われ方をしたが、そのまま何も飲み込んでにいさんは無茶しすぎだとかくどくどお説教をずっと夏目にひたすらいわれながらあんずを迎えに行く。その間に聞いてるふりして無心に歩いていたらまた怒られて、ちょっと君、にいさん呼びしてる割に、敬ってないよね。その扱い俺知ってるんだけど、つむぎくんみたいにあつかわないでちょっと杖奪って俺を殴らないでくれ。
あんずの部屋に迎えにいったら、あんずの説教なんだけど。なんか俺の方をちらちらみてるっぽいからどうも俺にも言われてるようだ。おかしいな、俺熱あることお前に言った覚えは全くないんだけど。




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