俺と疲労と金色の風・励ましのウイッシングライブ。 1 





夜遅くに帰宅する生活が二週間続いてた気がする。いや、三週間だったか?あんずには女の子だから早く帰れよ。と口酸っぱく言ったのはいいが、どうにも仕事が進まないので、俺が朝早くから登校して仕事を片付けてある程度のものをあんずに振ったり振かえしたりして、が一月ぐらい?過ぎたような。その合間に振り付けバイトがいい息抜きだったり、俺のステージが気分転換だから、趣旨が変わってきている気がする。まぁ、ライブのためのスパイスだと思っている部分があるので、俺たち青葉兄弟。もしかしたらマゾなのかもしれない。と何とも言えない気分になりながら教室に入って早速暖房をつける、自席に腰を下ろして書きかけの書類を取り出す。筆箱の口が空いていたらしくペンがころりとカバンから落ちた。拾いにいくと膝に来るんだよな。と思考して体ごと伸ばして拾い上げる。
さて昨日の続き。と、意識を切り替えようと書類に取りかかろうとすると遠くで救急車独特のサイレンの音がした。ドップラー効果とかいうけど、あんまり距離がわかんねぇよな。なんて呟いて今度こそ資料に手をかける。そのまま二三捲りながら、転写しているとポケットの中で携帯が鳴った。書いてた手を止めてちらりと携帯を見ると、三毛縞。と書いていた。なんだろうかと携帯を握りボタンを押そうとしたときに、ドタドタ走る音がした。

「ゆらぎさん!大変だあんずさんが!」
「おい三毛縞。かけてくるなら走ってくるな。どっちかにしろ。どうせここに俺がいるのわかってんだろあんずがどうした?」

がっと立ち上がると、椅子の足に引っ掛かってよろける。おっと、と声を漏らしながら杖でバランスをとりなおす。三毛縞に最悪走ってもらおうと判断して話を問いただすと、『流星隊』の仙石の目の前であんずが倒れたらしい。だから早く帰れと言ったのに!あいつ!と杖でダンダカ床を叩くがあんずにはダメージなんて行きやしない。

「時に相談なんだが、ゆらぎさんはあんずさんの仕事をどこまで把握しているかな?」
「把握どころか、大体随時連絡をとってるからほぼほぼ分かってるから、あいつの企画を潰させやしないよ。」
「ゆらぎさんだけで大丈夫なのか?」

あー。と呟きながら脳内である程度組み立ててみる。衣装とかは新たに振りなおしたりする必要があるから、と手元のゴミ紙に箇条書きしつつ、自分のスケジュールをもまとめ直す。一人でいけるか?と思考してみるが、あー終電コースかもしれない。俺の歩行速度が遅いから人より早いんだよなぁ。普通の足だったら走れるんだけど。んー校内バイトや企画、俺とあんずのを書き出している最中に、三毛縞に紙を奪われた。

「おい三毛縞」
「あんずさんであぁだったのに、ゆらぎさんに負担が寄りすぎるんじゃないか?」
「体力には自信はあるし、あんずは女の子だから早くかえして…」

もしかしてあいつ、早く帰らせたから家で作業してたり。とか想像が簡単に出来た。なんてこった。と頭を抱えたくなる。完全に八つ当たりになりそうだと判断して、ある程度仕事を奪っておいて良かったと考えるべきなのかと再び頭を抱えなおして、ふとおもう。「三毛縞。何か考えてるだろ?」じゃなかったら、コイツは勝手に先に先に走っていく、ブレーキハンドルなしのフルアクセル搭載のポンコツだ。

「さすがゆらぎさんだなぁ。ママのことまでお見通しだなんて、恐れ入った!」
「お前の過去がそうだったからだっての」

満足そうに胸を叩く三毛縞を見て、思考をぐるりと回す。ワーカーホリックまっしぐらのあんずのことだから、ある程度気を病めているとも思える。「三毛縞、俺の手伝いを頼んでいいか?入れ知恵ぐらいなら手伝ってやるよ。」お前も気を使うだろし、転校生が気を揉む、んでもって仙石が気にしているならば。の話だけどな。この話なら俺も両手放しでいくらでも手伝ってやるさ。あんずが復活してもまだ三毛縞が気にしてるなら俺もほんのちょっとは休んでやるからよ。
そういうと三毛縞は目を輝かせた。俺も心配されてたらしい。
とりあえず、俺の仕事は適当に振り直す。最悪外注も辞さないが、ライブは俺が振りをやるし踊るぞ。フォーメーションはそっちにまかせる!踊らせろ、それだけが絶対条件だけをつけると、三毛縞は快諾してくれて、またどこかに消えてった。

いや、いうてそんなに振れる仕事はないんだけどね。と俺は悪い笑みを浮かべて、書類作成につとめる。これは完全に終わったあとの話なんだが、した約束が違うとごり押しで休みを与えられた。おい三毛縞覚えとくなっての。




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